コラム
GW10連休は景気にプラスか? マイナスか?:消費者にとっては嬉しいが(3/4 ページ)
新天皇即位に伴う祝日などによって、今年のゴールデンウィークは10連休となることが決定した。日本経済にとってこれはどのような影響を及ぼすのだろうか。試算してみた。
祝日要因はほとんどの業種でマイナスに
祝日が1日増えた場合の生産量の増減率は、図表2のようになった。ここから読み取ることができるのは、ほとんどの業種で祝日が増えるほど生産量が減少する傾向があるということである。
また、鉱工業生産のマイナス幅(▲0.95%)は、第3次産業活動指数のマイナス幅(▲0.34%)を大きく上回っている。祝日の増加による工場の稼働日数の減少が生産量の減少に直結しやすいことが影響していると考えられる。
第3次産業活動指数の内訳では、金融・保険業(▲0.98%)、医療・福祉(▲0.71%)のマイナス幅が大きい。医療・福祉のマイナス幅の大きさは、土日・祝日が休診となる病院が多く、10連休の悪影響が懸念されていることを裏付ける数字とみることもできるだろう。
祝日が多いほど生産量が増える業種は非常に少ない。全産業活動指数に含まれる13業種(鉱工業、建設業、第3次産業活動の11業種)のうち、祝日が多くなると生産量が増えるのは「生活関連娯楽サービス」の1業種のみである。同業種には、祝日数の増加や連休の恩恵を受けやすいとされる旅行、宿泊、外食などが含まれる。祝日が1日増えた場合の生産量の増加幅は+0.83%と比較的大きいが、全産業に占めるウェイトは8.5%にすぎないため、経済全体に及ぼす影響は限定的である。
経済活動全般をカバーする全産業活動指数でみれば、祝日が1日増えると生産量は▲0.41%減少するという関係が確認された。
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