コラム
実はコンビニより多い「接骨院」 増えすぎて競争激化、倒産が過去10年で最多に:なぜ増え、なぜつぶれるのか(2/2 ページ)
2018年に発生したマッサージ事業者(鍼灸院、接骨院など)の倒産は93件で、過去10年で最多だったことが判明。業績不振が主な要因だった。治療院の数がコンビニより多くなっており、競争が激化しているためという。
腕が良くても経営能力がなければ……
しかし、仕事や家事で疲労した人、交通事故に遭った人、スポーツでけがをした人――などによる治療のニーズは一定数あるものの、爆発的に増えることはない。そのため、事業者間でパイの奪い合いが起き、競争に負けた治療院は倒産を余儀なくされているのだ。
「近年はSNSが発達し、口コミが集客に大きく影響する。その中で、十分な経験がない状態で開業しても集客は難しいだろう。もし腕が良かったとしても、経営能力がない場合は淘汰(とうた)されてしまう」
不正に手を染める治療院も
倒産が急増している状況下で競争に勝つため、不正な広告を打つことで顧客獲得を目指す治療院も増えており、「『○○が治ります』などと効能・効果を明示する広告は、法律上は医師にしか認められていないが、(接骨院などが)店頭やチラシなどに掲示するケースがみられる」という。
「○○療院」「○○治療所」などと、病院と混同させるような名称の治療院や、医師の診療報酬に当たる「療養費」を不正請求する治療院もみられるそうだ。
調査担当者は「治療院は不正に手を染めるのではなく基本に立ち返り、丁寧な施術によって口コミで高い評価を得て、固定客をつかむことが生き残る上で重要だ」と話す。
ただ、今後もしばらくは新規開業と廃業が相次ぎ、出入りが激しくなると予測。「厳しい状況が続けば業界の人気が下がり、ゆくゆくは生徒数が定員割れする養成校が出てくる可能性もある」とみている。
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