“頭数”だけじゃない 飲食業界が外国人社員に期待する重要な役割:4月から新たな在留資格(1/2 ページ)
出入国管理法改正案が4月に施行される。飲食業界では外国人労働者を受け入れるための検討をしている。単なる労働力ではなく、ある重要な役割を担ってもらうことを期待しているケースもある。
2018年12月に「出入国管理法改正案」が参議院で可決され、19年4月に施行されることとなった。飲食や宿泊など14業種で在留資格が新設されるため、深刻な人手不足に苦しむ飲食業界では受け入れ態勢の検討を進めている。
これまで、飲食業界では人手不足を補うために主に留学生を受け入れてきたが、1週間の就労は28時間までと制限されていた。そのため、外国人労働者を社員として雇用し、時間をかけて育成するのが難しい状況だった。
飲食業界向けの人材サービスを提供するクックビズでは、企業のニーズに対応するため、18年12月に外国人労働者受け入れに向けたセミナーの提供を開始すると発表した。同社は飲食業界における外国人雇用の現状と、施行後の状況についてどのように分析しているのだろうか。担当者に話を聞いた。
現状では活用できていない
業界団体と外国人受け入れ構築に向けた取り組みを協議しているクックビズ社長室の清水知輝氏によると、飲食業界の中には「週28時間しか働いてもらえないので、サービスレベルを上げにくい」という問題意識を抱えている企業もあるという。単純作業ではなく、一定以上の質のサービスをお客に提供してほしい。しかし、就労可能な時間に限りがあるため、仕事を通して成長しにくい状況にあると考えているのだ。
また、地方の中小チェーンの中には、外国人労働者の受け入れに関するさまざまな手続きが煩雑なことから、「そもそも活用できていない」(清水氏)ところもある。
では、法改正によって、飲食業界は外国人社員にどのような活躍をしてもらいたいと考えているのだろうか。政府の方針では5年間で約34万人を上限に外国人労働者を受け入れるとしているが、社員として長く働いてもらうことで、各店舗の基幹業務を担えるような人材を育成しようと考えている。言語だけでなく文化や宗教の違いから、日本人の社員と留学生アルバイトの間で意思疎通が難しい状況がある。そこで、外国人社員には、両者のコミュニケーションを仲介してもらうような役割を期待しているという。
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