“頭数”だけじゃない 飲食業界が外国人社員に期待する重要な役割:4月から新たな在留資格(2/2 ページ)
出入国管理法改正案が4月に施行される。飲食業界では外国人労働者を受け入れるための検討をしている。単なる労働力ではなく、ある重要な役割を担ってもらうことを期待しているケースもある。
海外進出を担う人材
外国人社員にもう1つ期待されている役割が、海外進出する際に現地店舗の店長やマネジャーとして、“日本基準”の高付加価値なサービスを提供できる仕組みを構築することだ。国内需要が先細りしていく中、飲食業界は海外市場を開拓しなければ生き残れないという危機感を抱いている。訪日外国人旅行客が増えているので、インバウンド需要を狙う戦略もある。しかし、海外展開は中長期的に取り組まないといけない課題だと業界内では認識されているのだ。
外国人社員の教育はどうする?
外国人を積極的に雇用しようと考える企業は教育の問題に直面するが、どのように対処すればよいのだろうか。外国人向けの研修に携わってきたクックビズフードカレッジ専任講師の荒木寿夫氏は「研修内容は、基本的に日本人向けのものと変わりませんが、教え方を工夫する必要があります」と語る。
例えば、「なぜ、『いらっしゃいませ』とお客に伝える際、お辞儀をしなければいけないのか」「なぜ、こちらがお客に謝らないといけないのか」ということが理解できない従業員が多く、お客から寄せられたクレームに対してつっけんどんな態度をとってしまい「2次クレーム」につながるケースがあるという。
そこで、荒木氏は従業員に対して謝罪やお辞儀の必要性を理解してもらうために、通常より倍近い時間をかけて研修をしている。実際に教えていると「この従業員は腹落ちしていないな」と分かるので、相手の目をみながら根気強く指導していく。さらに、研修後も毎日の朝礼で笑顔トレーニングなどを実施してもらい、その動画を分析し、フォローアップをするといったこともしている。その結果、お客から寄せられるクレーム数が研修前の4割程度に減ったケースもあったという。
荒木氏は「外国人従業員は『できない』のではなく、(接客マナーについて)単に『知らない』ケースが多いです。粘り強く教えることで、サービスの質を上げることはできます」と指摘する。
外国人を社員として迎えるにあたり、過剰にナーバスになる必要はないが、教育のためには相応のコストを払うことを覚悟したほうがよさそうだ。
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