「なまはげ」居酒屋にお客が殺到! 秋田県内に“存在しない空間”の魅力とは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
秋田県の郷土料理と「なまはげ」と触れ合える居酒屋にお客が殺到している。その再現度の高さから秋田県人以外も魅了している。大ヒットの秘密とは?
重要無形民俗文化財の中でも知名度の高いなまはげ
さて、ユネスコ無形文化遺産「来訪神:仮面・仮装の神々」は、09年に登録された鹿児島県薩摩川内市下甑島の「甑島のトシドン」を拡張する形で登録された。登録されたのは「吉浜のスネカ」(岩手県大船渡市)、「米川の水かぶり」(宮城県登米市)、「男鹿のなまはげ」、「遊佐の小正月行事」(山形県遊佐町)、「能登のアマメハギ」(石川県輪島市・能登町)、「見島のカセドリ」(佐賀県佐賀市)、「甑島のトシドン」、「薩摩硫黄島のメンドン」(鹿児島県三島村)、「悪石島のボゼ」(鹿児島県十島村)、「宮古島のパーントゥ」(沖縄県宮古島市)だ。
どの行事も地域の住民等が仮装をし、仮面を被って神として現れ、幸福や豊穣をもたらすありがたい風習である。「なまはげとは何か?」については諸説があるが、山の神で、災いを祓うという言い伝えがある。
これら10件は全て国の重要無形民俗文化財に指定されており、文化庁では文化財保護法に基づき、後継者育成や用具の修理を支援している。
なまはげは来訪神の中でも知名度が高く、このようにパフォーマンスが行われる飲食店がつくられているばかりでなく、なまはげが登場する新たなお祭りが考案されている。それは男鹿市真山神社の「なまはげ柴灯(せど)まつり」で、2月の第2金・土・日の3日間開催される。19年は8〜10日が開催日。1964年に、1月3日に行われていた「柴灯祭(さいとうさい)」となまはげを組み合わせた観光行事として始まったが、歴史を重ねて年々観覧客が増えている。19年から入場料として1000円を取るそうだ。
なまはげが和太鼓を叩いたり、たいまつの火が燃える背景で踊ったりと、勇壮な祭だ。
なまはげは09年に横手市で開催されたB級グルメによるまちおこしの祭典「B-1グランプリ」でも登場していたが、秋田県を代表するキャラクターとして認知されてきている。
このように、なまはげは活躍の場を広げているのである。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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