なぜファミマの社会貢献は「24時間テレビ」のように見えるのか:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
ファミリーマートの「ファミマこども食堂」をめぐって、激しいディスり合いが行われた。「売名行為だ」と批判の声もあれば、「悪いことだと思わない」といった意見も。企業の社会貢献で叩かれるケースと、そうでないケースはどのような違いがあるのか。
「子どもを応援」「社会貢献」にモヤモヤ
そう聞くと、「ははあん、そうか、この誤解のせいでサヨクが騒ぎ始めたのか」と思う方も多いかもしれない。確かに、これも一因であることは間違いないが、多くの人が「ファミマこども食堂」にイラっときたのは、もっと本質的な理由がある。
「子どもを応援」を「社会貢献」とうたわれることへのモヤモヤ感、もっとストレートに言ってしまうと、「どうせ社会貢献の名を借りた販促イベントでしょ」と受け取られてしまったのだ。
先ほどのリリースでもあるように、ファミリーマートは子どもを応援してきた。2009年度には、社会貢献の基本姿勢を「こどもを応援するファミリーマート」と定めて、さまざまな取り組みを進めてきた。
ベルマークにも参加しているし、08年には販売するおにぎり全品にベルマークが付いている。06年からは店頭募金「ファミリーマート夢の掛け橋基金」を実施して、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンなどに寄付をしている。
いずれも素晴らしい社会貢献であって、今後もぜひ続けていいただきたい。が、その一方で、コンビニ業界の置かれた厳しい事業環境を客観的に見れば、「子どもを応援」という取り組みを「社会貢献」と言い切ることは、売れないアイドルを大手事務所がドラマの主演にねじ込むような「ゴリ押し感」があるのもまた事実なのだ。
ご存じのように、日本は急速に少子高齢化が進行しており、近いうちにフリーフォールのようにドカンと社会のいたる所に老人が溢れかえるとされるが、その前兆が露骨に出ているのがコンビニだ。
コンビニのシェア4割を占めるセブン&アイホールディングスの来店客データを見ると、50歳以上の客は04年に22%だったのが、17年には37%と4割に占める勢いで増えている。それと反比例するように激減しているのが、「子ども」である。
1989年のデータを見ると、20歳未満の客は27%と3割いた。『週刊少年ジャンプ』を立ち読みして、外で「ガリガリ君」を食べたりして、コンビニ前にたむろする子どもが山ほどいた時代である。
が、この割合はじわじわと減少。09年には10%になると、15年には6%、17年には4%と減少に歯止めがかからない。これは少子化の影響もあるが、コンビニに「子ども」がいく必然性がなくなったことが大きい。マンガはコンビニで立ち読みできない。友だちとダベる場所も、100円で長居ができるマックや、ショッピングモールのフードコートなど山ほどある。
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