なぜファミマの社会貢献は「24時間テレビ」のように見えるのか:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
ファミリーマートの「ファミマこども食堂」をめぐって、激しいディスり合いが行われた。「売名行為だ」と批判の声もあれば、「悪いことだと思わない」といった意見も。企業の社会貢献で叩かれるケースと、そうでないケースはどのような違いがあるのか。
「24時間テレビ」のように見える
ご存じのように、この番組によって毎年、莫大な募金が集まる。それらの支援は、病気や障害で苦労されている方たちに届けているので、そういう意味では間違いなく「社会貢献」だ。
が、毎年一部の人たちからボコボコに叩かれる。チャリティーとか言ってるのに、有名タレントに高額ギャラが支払われている。障害者や病気の人に歌やダンスを訓練させて見世物にしている、「感動ポルノだ」うんぬんという批判もよく寄せられている。
「愛は地球は救うは結構だけど、感動コンテンツで視聴率をとるという商売のためでもあるんでしょ」
そんな風に感じている視聴者が一定数いるのだ。彼らの目には、「難病」「障害者」などの社会問題を用いて、日本テレビが目指す「視聴率」という目標達成をしている――。つまり、どんなに日テレ側に立派な志や善意があったとしても、世の中的には「社会貢献」という看板を掲げて、ゴリゴリに商売しているネガイメージも着々と広まっているのだ。
では、企業の社会貢献が「24時間テレビ」のように見えないようにするにはどうすべきか。
社会貢献が叩かれない企業というのは、「こども食堂」や「24時間テレビ」のように、社会問題があって、そこに自社の「利益」をどう絡ませるかという立て付けになっていない。まず、自社のサービスや強みからスタートする。それを用いて、社会活動を解決する。叩かれる企業の社会貢献と考え方が180度真逆なのだ。
例えば、営利事業と慈善活動を一体化した「公益資本主義」の旗振り役であるセールスフォース・ドットコムが分かりやすい。
同社はご存じのように、マーケティング担当者向けの顧客情報管理(CRM)ソフトの世界大手。ということは、世界の貧困や社会問題を解決するために、財団でも立ち上げてドカンと寄付をしているのかと思う方もいるかもしれないが、違う。
セールスフォース・ドットコムでは自分たちのソフトを無料、もしくは割引価格で、世界の2万8000以上のNPOに提供しているのだ。自社サービスによって、NPOをバックアップすることで社会貢献をしているのだ。
関連記事
- 「佃製作所はやっぱりブラック企業」と感じてしまう、3つの理由
ドラマ「下町ロケット」の特別編が放映され、14.0%という高視聴率を叩き出した。多くの人がこのドラマを見て胸が熱くなったかもしれないが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。ドラマの内容を考えると、「日本の未来に不安を感じる」という。どういう意味かというと……。 - 「バイトテロ」は訴えても抑止できない、3つの理由
アルバイトが不適切な動画をSNSにアップしたことを受け、くらコーポレーションが法的措置をとると宣言した。ネット上では「よくやった」「当然だ」といった声が多いなかで、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。どういうことかというと……。 - なぜ日本のおじさんは怒ると「責任者を呼べ!」と騒ぐのか
街中を歩いていて、おじさんが「責任者を出せ!」と騒いでいるのを聞いたことはないだろうか。例えば、駅員に大声を出したり、コンビニの店員を叱ったり、とにかく日本のおじさんはよく怒っている。なぜおじさんは「責任者を呼べ!」と叫ぶのか、その背景を調べてみると……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 「現金お断りの店」は、その後どうなったのか? ロイヤルHDの実験
1年ほど前、東京の日本橋に「現金お断り」のレストランが登場した。ロイヤルホストを運営するロイヤルHDが運営しているわけだが、キャッシュレスにしてどんなことが分かってきたのか。メリットとデメリットを聞いたところ……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 日本のおじさんたちが、「アデランス」をかぶらなくなったワケ
アデランスがMBOを実施すると発表した。投資ファンドからの支援を受けながら経営再建を目指していくそうだが、業績低迷の背景に一体何があったのか。日本のおじさんたちが「かつら」をかぶらなくなった……!? - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - 「外国人は来るな!」と叫ぶ人たちが、移民政策に沈黙しているワケ
いよいよ日本が、世界有数の「移民大国」へと生まれ変わる。普段、「外国人は来るな」と叫ぶ人たちは、なぜこの法案に沈黙しているのか。その背景には、「恐怖」が関係していて……。 - 日本人が「通勤地獄」から抜け出せない、歴史的な背景
暑くなってきたので「満員電車」が辛くなってきた。「働き方改革を実現しよー」「時差出勤をしよー」と叫ばれているのに、なぜ“通勤地獄”は解消されないのか。その歴史をひも解いてみると、意外な事実が……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.