ユーザーからの“愛”でサブブランド対抗 mineo「アンバサダー制度」は吉か凶か:格安SIM業界初(2/3 ページ)
MVNO「mineo」を運営するケイ・オプティコムが2019年の事業戦略を発表。事業方針や契約数といった情報をコアユーザーに共有し、新サービスなどを一緒に考える「アンバサダー制度」を3月から開始するという。業界初の取り組みは、どのような成果をもたらすのだろうか。
“精神的な報酬”を提供
「共創アンバサダー」は3月下旬開始予定。提供する情報は、mineoの事業方針、「マイネ王」のページビュー数、法人顧客・一般消費者の獲得比率、単月・累計での契約数、接続関連コストが売値に占める割合――など、これまで報道機関にも開示してこなかった機密性の高いものだ。
ケイ・オプティコムは、一連の情報を「mineoをサポートしたい!」という強い意志を持つユーザーにあえて公開し、顧客目線でのアドバイスをもらうことで、新サービスや新戦略の立案につなげる考えだ。
「共創アンバサダー」に参加できるのは、「マイネ王」の会員で、オフ会への参加経験もあるユーザーのみ。情報を外部に漏らさないことに同意した場合のみ参加可能とするなど、競合他社の社員が紛れ込まない仕組みも設ける。
ケイ・オプティコム 経営本部 モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏は「『こういう方をターゲットにするなら、こんなアプローチができるのでは』『大幅な回線増強が難しいので、平準化しては』といったアドバイスがいただければ」と期待を寄せる。
報酬は出ないが「実利のためではなく、情報を得ることで、自分のアイデアがサービスに反映されるという精神的な報酬(を提供する)。100人程度の加入を想定する」と上田氏は話す。
ユーザー同士がビデオチャットで教え合う
「サポートアンバサダー」は3月1日開始予定。専用の予約サイトを通じてコアユーザーと新規ユーザーをマッチングする仕組みで、コアユーザーは自己紹介欄に「Androidに強い」「iOS専門」などの得意分野と対応可能時間を記載でき、それを見た新規ユーザーが希望に応じてサポートを申請する流れ。コアユーザーがビデオチャットの画面上でスマホを操作し、初期設定の方法を見せながら解説するといった用途を想定する。
これに応募できるのは「マイネ王」のQ&Aコーナーで「ベストアンサー」を獲得しているユーザーのみで、応募の際は志望動機も必要。トラブル発生など万が一の事態に備えるため、ビデオチャットの内容を録画するほか、通話終了後に新規ユーザーが指導に当たったコアユーザーをレビューできる仕組みも設ける。
「コールセンターやAI(人工知能)を活用したチャットボットなど、従来のサービスは引き続き提供する。(サポートアンバサダーの開始は)あくまでサポートの種類を広げるための施策だ」(上田氏)という。
「紹介アンバサダー」は3月1日開始予定で、全てのmineoユーザーが参加可能。友人・知人の紹介人数に応じて、1000円〜3000円分の電子マネーを提供するほか、紹介を受けて新規契約したユーザーにも1000円分を付与する。
関連記事
- 「料金高すぎ」批判の背景にある、携帯キャリアが信頼されない要因
「日本の携帯料金は高すぎる」という批判が政府や消費者から出ている。だが、他国と比較すると、必ずしも不当に高いとは言えないとの調査結果もある。ではなぜ、日本の携帯キャリアはここまで批判されるのか。野村総合研究所が調査結果を発表した。 - “顧客ファースト”でシェア上位 独自路線の「mineo」、次なる施策は?
ユーザーを大切にする姿勢を貫き、競争が激化するMVNO市場でシェア4位に位置するmineo。契約数は間もなく100万回線に達するというが、今後はどのような施策を展開していくのだろうか。 - 携帯キャリアVS.格安SIM 月額料金はどれくらい違う? ユーザー2000人に聞いた結果は……
菅官房長官の「4割値下げ」と発言以降、「日本の携帯キャリアの料金は高すぎる」との批判が強まっている。では実際に、キャリアの料金は格安SIMと比べてどの程度高いのか。ユーザーはこの発言をどう捉えているのか。MMDLaboが調査結果を発表した。 - ユーザーに聞く「本当に使える格安スマホ」ランキング 1位は……?
格安SIMのユーザーに、実際の使い勝手を聞いた結果は?――ベンチャー企業のENECHANGE調べ。 - 携帯料金、4割下がっても半数以上が「まだ高い」
政府主導で携帯料金の値下げが検討される中、ターゲットとされる4割下がっても、半数以上が「まだ高い」と考えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.