インタビュー
麻布、東大、興銀……エリートコースをあえて捨てた男の仕事論:「内省と対話」を繰り返して得たもの(6/6 ページ)
25万部超えのベストセラー『1分で話せ』の著者、Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一さんに、ポスト平成時代の働き方を聞いた。
自分の思いを周りに伝えること
以上が伊藤さんへのインタビュー内容だ。銀行から文具メーカーへの転職は一見、キャリアのつながりを感じないかもしれない。銀行でやりがいを感じていた融資業務ではあくまでサポーターにしかなれず、自身が事業側にまわりたいという思いが強くなり始めたところで、縁があってオーナーの今泉さんと出会い転職に至ったのだ。
そして、文具メーカーでの悩みを銀行時代の同僚に打ち明けた際に入学を勧められたグロービス経営大学院で学んだMBAの内容が、その後の社内不採算事業の統合にも生かされた。その後、生徒として通った経営大学院で教える側に立つようになり、それがきっかけで現職に至っている。
インタビューを通じて印象に残ったのは、目の前の仕事に全力で取り組みつつ、常に課題意識を持ち、必要であれば自分の思いを周りに伝えることで、自ずと道は開かれていくということだ。ポスト平成の時代に移ったとしても、その方法論は変わらない。
著書を読みながら取材に臨んだが、伊藤さんの話し方には説得力があった。結論とそれを裏付ける実際のストーリーがシンプルに表現されており、メモを取りながら話を聞いていても頭に明確に内容が残っていた。現在はYahoo!アカデミアで社内のリーダー人材の育成に力を注ぎながら、日本全国でも講演をしている。伊藤さんの話し方は俗にいうプレゼンテーションの枠を超え、一種の「表現者」の領域に達していると感じた。
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