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私はこうしてプロ野球をクビになった『俺たちの「戦力外通告」』著者が綴る(1/3 ページ)

元プロ野球選手で、『俺たちの「戦力外通告」』著者が、自身の体験をもとに“クビ”になった経緯を語る。

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編集部からのお知らせ:

本記事は、書籍『俺たちの「戦力外通告」』(著・高森勇旗、ウェッジ)の中から一部抜粋し、転載したものです。記事内の写真は著者提供です。


 今日、戦力外通告を受ける。

 そのことは、昨日の電話で既に知っている。朝、いつもと同じように起き、同じ道を通って球場に向かう。いつもと違うのは、スーツを着ているということ。ただ、それだけである。

 それだけなのに、この気持ちはなんだろう。

 長い野球人生だった。小学校3年生のときに半ばやらされて始めた野球は、いつのまにか人生の中心にあった。試合に勝つこと、仲間と協力すること、思い通りにならないこと、そして、自分自身を高めること。人生において大切なことは全て、野球から教わった。“プロ野球”という一つの完成されたフィクションに、人生の全てを注ぎこんできた。それが、今まさに終わろうとしている。

 「どんな気持ちになるのかな」

 情熱の全てを注ぎこんできたものが終わる時、自分自身は正気でいられるだろうか? 取り乱したりしないだろうか? どこか他人事のようにそんなことを考えていた。

 抜けるような高い空に、風が吹き抜けていく。金木犀の香りが濃く香る日だった。横須賀港に停泊している軍艦は、今日も波に揺られてギシギシと音を鳴らしている。グラウンドでは、“来年”に向けて選手たちが練習を始めていた。それは、昨日までと変わらない、いつもの光景だった。

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3年目の高森氏。2軍の試合で「見逃し三振」に倒れたシーン

「今後、どうする?」

 「おはよう。そこに座ってくれ」

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