女子向けワイン酒場「ディプント」をヒットさせたプロントの“緻密な戦略”:強さを数字で読み解く(1/5 ページ)
プロントが運営する女性向けワイン酒場「ディプント」。2009年に1号店をオープンしてから40店舗近くまで増えた。ヒットの要因と強さの秘密を解き明かしていく。
なぜあの企業は「戦略転換」したのか:
事業がうまくいっても、それが長く続くとは限らない。時代に合った新事業の立ち上げや経営方針の転換ができれば、持続的な成長につながるだろう。しかし、新しい戦略を実現し、成功させるのは簡単ではない。戦略転換した企業の収益の推移を追いかける。
連載第1回:「回転しない寿司」路線から6年 元気寿司が思い知った“意外な効果”
連載第2回:本記事
飲食店コンサルタントの三ツ井創太郎です。今回は、飲食企業の「戦略転換」についてお話させていただきます。
企業は時によって大きな戦略転換に迫られます。本年に予定されている消費増税やオリンピック後の景気動向、人材不足など、経営環境の不透明な中で一つの事業、または企業全体の戦略転換を考えている企業も多いかと思います。今回はこうした中で過去に時代の流れや顧客ニーズを正しく捉え、上手に戦略転換を行った企業の成功要因を分析することで、これからの不透明な時代を生き抜くための戦略転換のルールを導き出していきたいと思います。
ディプントの成功事例
みなさんは「Di PUNTO(ディプント)」というお店をご存じでしょうか。ディプントはカフェ&バー「PRONTO(プロント)」を運営するプロントコーポレーションが展開するブランドです。2009年12月、神田に1号店をオープンし、現在では「カフェ以上、ワインバー未満のカジュアルなワイン酒場」というコンセプトで、東京を中心に36店舗を展開するチェーンに拡大しています(2018年12月末時点)。
なお、本体のプロントは1988年、東京・銀座に1号店を出店しました。プロントはお酒の業態に強みを持つサントリーグループとコーヒー業態に強みを持つUCC上島珈琲の2社がタッグを組んでつくった「昼はカフェ、夜はバー」という二毛作ビジネスの先駆け的な業態です。当時、二毛作戦略で成功しているカフェの事例はほとんどなく、カフェ業界においては新たな戦略として注目されました。
そんな「二毛作カフェ」という戦略転換で成功を収めた同社の新たなチャレンジとして誕生した業態がディプントです。
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