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世のために生きたい トップ営業マンの地位を捨てて起業するも3度の倒産危機、そこから漂着した世界とは?フルカイテン・瀬川直寛社長(2/6 ページ)

世の中の人たちにとって役に立つ仕事がしたい。そう思って起業した瀬川直寛さんは3度の倒産危機に直面した。しかし、その苦境から新たな事業の種が生まれたのだった……。

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2カ月後の給料が払えない!

 1度目の危機は14年秋のこと。創業から2年間はイケイケドンドンで事業が伸びていった。それがある日突然ショートした。

 「事業を始めた当初は、仕入れ先に支払いができないし、従業員に給料も払えないので、とにかく売り上げのことばかり考えていました。結果的に、見ているのは売れている商品だけで、売れないものは目に入ってきませんでした。けれども、売れていない商品の在庫がどんどん増えていくと、キャッシュが寝ている状態なので、いつか資金繰りに困るわけです。それが直撃し、2カ月後の給料が払えないところまで追い込まれました」

 慌てた瀬川さんは「不良在庫の削減」を考えた。しかし、そこでふと立ち止まる。不良在庫とは一体何なのか? 例えば、在庫が数十個ある商品でも売れていれば不良ではないし、一方で、在庫が3個しかなくてもまったく売れていなければ不良と言える。

在庫の山で倒産の危機に
在庫の山で倒産の危機に

 こうした状況のとき、普通なら在庫一掃セールなどと銘打って、何よりもまずは商品を売りさばこうとするが、瀬川さんは、なぜこうなっているのかという原因追究と、不良在庫を特定するロジックを考え出したのだ。これは先述したように、どんなことでも理由を探す瀬川さんの持って生まれた癖である。その結果、根本的な問題は「滞留期間」だということに気付いたのである。

 「ほとんどの会社では、例えば、商品が30日間倉庫に滞留していると危険シグナルを出して、在庫削減しようと考えます。けれども、よくよく考えると、仮に在庫が100個あっても確実に50日間で売り切ることができる商品であれば、30日過ぎて残っていても問題はないのです。一方で、少ない在庫数でも本来10日間で売れるべき商品であれば、30日間も残っているのは良くないわけです。つまり一律に滞留期間を決めては駄目だということです」

 結局、売れるか売れないか、どれだけの量が売れるのかという予測が立たないと、今抱えている在庫の良しあしは判断できないことが分かった。すぐに瀬川さんは移動平均データなどを用い、不良在庫かどうかを判定するプログラムを3日ほどで作り上げ、そこで導き出された商品を対象にセールをしたのだ。瀬川さんの読み通り、不良在庫がうまくさばけて、約700万円を取り戻したのである。

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