「機関投資家の22%は既に仮想通貨を保有」 米Fidelityが仮想通貨関連サービスを密かに開始していた:独自の調査も実施
米大手金融機関Fidelityは密かに仮想通貨のカストディーサービスや取引業務などの一部サービスを開始していたようだ。また、仮想通貨に関する独自の調査結果を発表した。米CNBCが報じた。
米大手金融機関Fidelityは密かに仮想通貨のカストディーサービス(投資家に代わって投資対象となる資産の保管や管理などの業務を行う)や取引業務などの一部サービスを開始していたようだ。昨年に設立した仮想通貨投資関連業務を担うFidelity Digital Assetsを通じ、ヘッジファンドや資産管理会社などの機関投資家を対象にこれらのサービスを提供していたという。米CNBCが報じた。
米CNBCの取材に答えたFidelity Digital Assetsで責任者を務めるトム・ジェソップ氏は「昨年の仮想通貨相場の暴落は我々の事業計画には特に影響しなかった。むしろ、我々のような仮想通貨ファンドが、仮想通貨価格が高値圏内で推移している時にサービスを開始していたら痛手となっていただろう」と、現状の事業経過に対し前向きな見方を示した。
ジェソップ氏によると、ビットコインを含む多くの仮想通貨が弱気相場から抜け出せないでいるものの、機関投資家はポートフォリオに仮想通貨を組み込むことについて関心があるという。世界的な金融危機が起きた際、仮想通貨はそのリスクとはあまり相関関係がなく、価値の保存の役割を果たすと考えられているようだ。中には(仮想通貨の)ボラティリティの高さを取引の好機とみなす人もいるという。
ヘッジファンドや裕福な資産管理会社などが仮想通貨に対する興味・関心がいかほどなのかを調査するために、同社はおよそ450社にインタビューを実施。その調査結果では約22%が「仮想通貨を既に保有している」とし、今後5年のうちに仮想通貨のその配分率を現状の2倍ほどに拡大することを検討していることも分かった。
だが、現状では同社のサービスは一部の顧客にしか提供されていない。顧客によっては利用できるようになる時期はまだまだ先になるとし、今後のサービス展開については「本当に(世間の)状況や顧客次第だ」とジョセフ氏は語った。
仮想通貨普及には“教育”が鍵?
調査結果では、多くの投資家が仮想通貨への投資をためらう一因にはボラティリティの高さがあり、2019年に入り比較的価格推移が穏やかになっても多くの人は相場の乱高下を心配していることも分かったという。
また、教育も仮想通貨投資の普及を阻む一つの障壁になっているようだ。ジョセフ氏は(仮想通貨についての)“正しい教育”がもっと行き届けば、仮想通貨はより受け入れられるようになると主張する。
「当社にも仮想通貨について学びたいという人がやって来るが、それは良いサインだ。教育を受ければ仮想通貨に対するネガティブな見方も変わるだろう」
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