ミクシィの木村社長が語る「モンスト」と「Facebook」:SNS依存からの脱却(4/5 ページ)
SNS依存からの脱却に成功したミクシィ――。2013年にリリースしたスマートフォン向けゲームアプリ「モンスターストライク」が記録的な大ヒット作品に成長。なぜモンストだけがこれほどまでに人気を得ることができたのか。同社の木村弘毅社長に話を聞いた。
流行らないと言われた“同期型”ゲーム
モンストは“同期型”のゲームである点も大きな特徴だという。
同期型とは時間の共有を求めることを指す。例えばモンストの場合、友だちと一緒にスマートフォンを持ち寄ってプレイすることで、実際に同じ時間を共有している。一方で、mixiの日記は“非同期型”のサービスになる。投稿した日記へのコメントは日時などに制限されることなく、基本的にはいつでも書き込むことが可能だからだ。
「『サンシャイン牧場』といったmixiゲームの過去の人気ゲーム作品のほとんどが非同期型でしたし、モンストの開発に取り組んでいた13年ごろは世の中全体としても非同期型サービスが人気でした。時間に囚われず1人でも楽しめる非同期型のゲームが発達している中で、時間の拘束を要する同期型は『時代に逆行する』ともとれます。当然、『そんなの流行らないだろう』と反発の声が挙がりました」
だが、ゲームの変遷を振り返ってみると、ゲームが“みんなと一緒に遊ぶコミュニケーションの場”を提供する役割を担っている点は過去からずっと変わっていない。ゲームセンターの対戦ゲームで友だちと対決したり、コンシューマーゲームで家族がテレビの前に集まって一緒にプレイしたりと、「友だちや家族と集まってゲームを楽しみたい」というニーズも変わらずにある。
「スマートフォンがゲームのプラットフォームの主流に取って代わっても、みんなと集まってゲームを楽しみたいというニーズがなくなるとは思えませんでした。同期型ゲームに対する懐疑的な見方も少なくなかったですが、モンストは同期型にしようと決断しました」
同期型にした狙いは他にもあった。ミクシィはゲーム会社ではないので、ゲームの質だけで勝負すれば競合には勝てないだろう。そこでソーシャルアプリケーションメーカーとして“人とのつながりを生かせる”ゲームに仕上げることでモンストの付加価値を高めようとしたのだ。このような観点からもミクシィが同期型のゲームに挑戦する意義は大きかったという。
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