こんな時代に純喫茶の経営に乗り出した男の「なるほど」な勝算:閉店が相次いでるのに(2/5 ページ)
コーヒーチェーンが増加するに従い、“昭和の純喫茶”が次々と姿を消している。こんな状況で純喫茶の経営に乗り出した男がいる。どんな勝算があるのだろうか。
退職後に開業
14年8月、村田さんはそれまで勤めていた会社を辞めることになった。退職後に何をしようかなと思案していた際、これまでぼんやりと「商売になるかなあ」と考えていた喫茶店の家具の販売を手掛けようという気持ちが強まっていったという。
ある日、近所の喫茶店が閉店すると知った村田さんは、思い切って店主に「閉店したらこの家具はどうするんですか?」と聞いてみた。すると、店主は「ほしいならあげるよ」と言ってくれた。
店主の言葉を聞いてからの行動は早かった。知り合いが利用しているシェアスペースの一角を格安で「倉庫」として借り受け、トラックを運転して家具を引き取りにいった。ネットショップをオープンする際も、特別に勉強したりノウハウを学んだりしたわけではなく、一般的なネットショップ運営サービスを利用して村田商会を開店した。15年12月のことである。
開店時から好調
ネットショップの村田商会には、オープン当初から反響があった。村田さんはSNSで純喫茶についての情報発信をしたり、同じ愛好家の友人らと一緒にお店を訪ねたりしていた。そのため、村田商会の存在は自然と口コミで広がっていった。村田さんのビジネスは最近注目されている「小商い」に該当するものといえるが、ビジネスを始める前に、コミュニティーの中で認知されていたことが成功の秘訣だったのかもしれない。
村田商会のWebサイトでは、取り扱っているテーブルや椅子の写真を更新順に並べているだけでなく、どんな喫茶店で使われていた家具なのかという情報も掲載している。こういった姿勢が「あのお店のテーブルを買いたい」というお客からの注文につながっている。中古の家具というのは実際に使い心地を確かめてから購入したいと考えるお客が多いが、自分が通っていたお店の椅子やテーブルならば、ネットショップで安心して購入できるという側面もある。
小さなお店を始めようと考えているお客が、まとまった数の椅子やテーブルを注文購入するケースもある。マスク専門店、喫茶店、書店などさまざまなお店で家具が活躍している。
関連記事
- 回転すしの厨房はどうなっている? くら寿司で働く若きリーダーに見せてもらった
大手回転すしチェーンは安くてうまいすしを迅速に提供することで成長を続けてきたが、そのビジネスを支える厨房はどのようになっているのだろうか。くら寿司の新店オープンを次々と手掛ける若きリーダーに話を聞いた。 - レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - 「街のビール屋さんを文化にしたい」 100店舗出店に燃える
お店で醸造した出来たてビールと食事を提供するブルーパブを東京・高円寺に2010年に開業。8店舗まで拡大させてきた経営者がこれまでの苦労と夢を語った。 - カメラ開発40年「ミスター・ニコン」に聞く 楽しみ抜いた“名機”開発の裏側
40年以上カメラ開発の現場を歩んできた、ニコンの後藤哲朗さん。2013年発売の「Df」には、後藤さんのカメラへの熱い思いが込められている。「便利で使いやすい」とは違うDfの価値とは? 楽しむことを忘れずに取り組んできた開発の経験について聞いた。 - 世のために生きたい トップ営業マンの地位を捨てて起業するも3度の倒産危機、そこから漂着した世界とは?
世の中の人たちにとって役に立つ仕事がしたい。そう思って起業した瀬川直寛さんは3度の倒産危機に直面した。しかし、その苦境から新たな事業の種が生まれたのだった……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.