こんな時代に純喫茶の経営に乗り出した男の「なるほど」な勝算:閉店が相次いでるのに(3/5 ページ)
コーヒーチェーンが増加するに従い、“昭和の純喫茶”が次々と姿を消している。こんな状況で純喫茶の経営に乗り出した男がいる。どんな勝算があるのだろうか。
思ったよりも家具が高くない理由
それにしても記者が気になったのは、テーブルや椅子が思ったより安かったことだ。例えば、2人のお客が向かい合って座るようなテーブルが5000円や6500円で売られている。椅子も4000円や6000円だったりする。もちろん、1万円以上のものもあるのだが、椅子やテーブルを1個5000円前後で販売して利益が出るのだろうか。
この点について、村田さんは「家具を仕入れるにあたり、いくらかお支払いすることもありますが、無料で引き取ることもあります。通常、喫茶店の家具は引き取り手がほとんどいないので、処分するのに数万円〜10万円くらい費用がかかります。お店のオーナーからしても、処分代を節約できるメリットがあるだけでなく、自分が愛着を持っている家具を大事に使ってもらえるという安心感もあります」と説明する。つまり、仕入れのコストがそれほどかからないのだ。
仕入れ先の開拓は?
仕入れ先の情報はどのようにして得ているのだろうか。「あの喫茶店が閉店するらしい」という情報は純喫茶の愛好家たちの間で共有されるので、村田さんの耳に自然と入ってくる。そして、村田さんは直接お店を尋ねて家具を引き取らせてくれないかと依頼する。
また、店をたたもうかと考えているオーナーの多くは高齢者で、ネットに詳しくないケースがある。そのオーナーが閉店の意向を周囲に伝えると、常連客やオーナーの息子・娘が、「村田商会というところが、家具を引き取ってくれるらしいよ」と教えてくれることもあるという。「(家具の処分に困った喫茶店のオーナーから)最後の駆け込み寺的な存在として認知されています」(村田さん)。
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