こんな時代に純喫茶の経営に乗り出した男の「なるほど」な勝算:閉店が相次いでるのに(4/5 ページ)
コーヒーチェーンが増加するに従い、“昭和の純喫茶”が次々と姿を消している。こんな状況で純喫茶の経営に乗り出した男がいる。どんな勝算があるのだろうか。
喫茶店経営を思い至った経緯
家具の仕入れと販売を順調に続けてきた村田さんは、どうして喫茶店経営に踏み出そうと考えたのだろうか。
村田さんはさまざまなイベントに出店し、そこで家具や食器を売っていた。ネットショップと違い、リアルな場で商売をすると、お客からさまざまな情報が仕入れられる。また、「こんな家具を探しているんだけど、取り扱っていますか?」といった商談もできる。
喫茶店から仕入れた食器は1個当たりの単価が安く、梱包の手間もかかるのでネットショップでの取り扱いには向かないのだが、イベントでなら販売できる。仕入れた食器を不定期に開催されるイベントの場だけでなく、常設の売り場でも販売したいと考えるようになった。
そんな時、村田さんは老舗の喫茶店が閉店するという情報を聞きつける。駅から徒歩数分と立地もすばらしく、店舗のつくりも気に入った。閉店を惜しむ常連さんもいる。「こんな空間を残していきたいなあ」という気持ちが強まっていった。
いくら常連さんを引き継いだとしても、喫茶店だけの収入ならばビジネスとしてはやや厳しいかもしれない。しかし、ネットショップと店舗で販売する食器の売り上げが加われば、ビジネスとして成り立つかもしれない。そんな勝算があったという。
また、村田さんの感触では純喫茶巡りを趣味にする20〜30代の若者や女性が増えているという。チェーンだらけの世の中だからこそ、お店ごとの個性が余計に支持されるのだろう。こういった状況も純喫茶経営に乗り出した背景にある。
現在でも営業を続けられる純喫茶には「常連客がたくさんいる」「持ち家で営業しているので家賃の負担が少ない」「オーナーが高齢になり、副収入として年金がある」「料理や内装といった点でお客に強く支持されている」といった特徴がある。
スターバックスやドトールといったコーヒーチェーンに淘汰されないようなビジネスモデルを村田さんは確立できるだろうか。
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