世界的にキャッシュレス化が進んでいるのに、なぜ米国は反発するのか:大都市で規制(2/4 ページ)
世界的にキャッシュレス化の動きが加速している。こうした動きの中で、反発する国がある。米国だ。ペンシルベニア州ではキャッシュレス型店舗を規制する法律が可決され、この動きは広がりつつ……。
キャッシュレス化に対して、反対の声
では、なぜキャッシュレス化に対して、反対の声が上がっているのだろうか。最大の理由は、低所得者が平等に買い物ができなくなるという批判が出ているためだ。
例えばフィラデルフィアでは、市民の26%ほどが、貧困レベルを下回る生活をしている。そして、彼らの多くはクレジットカードどころか、銀行口座すら持っていないという。
クレジットカードやデビットカードを持っていない低所得者の多くは、マイノリティや移民だ。そのため、現金での支払いを拒否することは、人種差別なのではないかという議論にすらなっている。
ちなみに、17年の米政府の調査によると、銀行口座を所有していない世帯は全米で6.5%もある。移民が多く住むエリアは、銀行口座を持たない世帯の数字が他に比べて高い。
銀行口座を持つには、決められた最低限の口座残高を維持する必要があり、また月々の手数料が発生することもある。そういった理由から、銀行口座を持つことが難しい人が生まれてしまっている。
クレジットカードやデビットカードを所有していなければ、現金を事前にチャージして使えるプリペイドカードを利用する方法もある。しかし、それも手数料がかかるため、現金で支払うより割高になってしまう。プリペイドを推奨すれば、結果的に、貧困層からより搾取してしまうことになる。
貧困層とは関係のないこんなケースもある。購買記録や動向などをデータとして、企業などに使用されたくないという、プライバシーの観点から現金払いを好む人がいる。キャッシュレス化にはさまざまな利点はあるだろうが、支払い方法に関して一方的に消費者の選択肢を奪うべきではないという意見もあるということだ。
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