なぜ「小僧寿し」は危機に陥ったのか 犯人は“昭和のビジネスモデル”:スピン経済の歩き方(1/5 ページ)
「小僧寿し」が債務超過に陥った。苦境の背景に「持ち帰り寿司の限界」とか「多角経営が裏目に」といった声が出ているが、本当にそうなのか。筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。
「小僧寿し」が債務超過に陥った。2018年12月期の決算で10億5700万円の債務超過に転落したことで、上場廃止の可能性も強まっている。
というニュースが世間を騒がす中で、非常に引っかかる報道があった。小僧寿しの苦境は、「持ち帰り寿司業態の限界」だというのである。
ご存じのように今、スシローなど大手回転寿司チェーンが大にぎわいである。週末はファミリーなどが押しかけるため、アプリで予約をしても1時間半待ちなどザラだ。かっぱ寿司、くら寿司などとともにし烈な争いを繰り広げている。
一方、宅配寿司「銀のさら」も好調で、今年2月にはWeb会員が200万人を突破している。デパ地下やスーパーの鮮魚売り場では、中トロやウニなど豪華ネタ満載の「寿司パック」が売られている。
こういうところに客をガッツリと取られて、「持ち帰り寿司」そのものの存在意義がなくなりつつあるというのだ。そう聞くと、「確かに昔は、子どもの誕生会とか親戚の集まりとかで利用したけど、今はどこでも寿司が食べれるもんな」」と納得する方も多いかもしれない。
が、個人的にはどうにもしっくりこない。小僧寿し以外の「持ち帰り寿司」はさまざまな企業努力をされながら、しっかりと存続をして、立派な業績を上げているからだ。例えば、ライバルの京樽は「持ち帰り寿司」とともに、回転すし「海鮮三崎港」、低価格江戸前ずし「すし三崎丸」などを展開し、年商は267億円(2018年2月期)。今期の既存店売上高は前年比1.9%増を見込むという。
また、首都圏の方に馴染みのある「ちよだ鮨」も同様で、回転すしの「築地 銀一丁」と「築地 銀一貫」、立食いずし「築地 すし兆」などとともに、年商は138億円(2018年3月期)となっている。
ともに、回転寿司などの多角経営を展開しつつも、主力事業の「持ち帰り寿司」はちゃんと継続しているのだ。
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