100万円で開発した「現金NGのカフェ」が、数年後に増えそうなワケ:水曜インタビュー劇場(月1万円公演)(6/6 ページ)
秋葉原駅から徒歩5分ほどのところに、キャッシュレスのカフェが登場した。システム開発を手掛けるクラスメソッドが運営しているわけだが、一体どんな店なのか。店内に入って、注文したところ……。
課題はたくさんある
土肥: システムを開発している会社がカフェをオープンした。キャッシュレス、レジなし、ウオークスルーを実現して、しかも低料金でやれるとなれば、飲食店を運営している会社から「ウチもぜひ、御社のシステムを導入したい」といった声があるのでは?
横田: 視察に来られた人たちから「ウチでもやりたい」といった声をいただいています。彼らに課題を聞いたところ、「人手が不足している」「効率化を図りたい」といった声が多かったんですよね。このままでは売り上げだけでなく、利益も縮小していくので、最新のテクノロジーを導入して、新たな価値を提供したいと考えている人が多いことが分かってきました。
土肥: そうした声に、どのように対応しているのでしょうか?
横田: 「いまはできません」と言っています。一緒にやるのは、まだ早いと思っているんですよね。まだまだクオリティーが低くて、機能面で未熟な部分が多い。もっとたくさんのパターンを検証して、より多くの人に使ってもらえるようにしていかなければいけません。例えば、決済手段。電子マネーやQRコードなどにも対応していかなければいけません。現在、利用するには専用アプリをダウンロードしなければいけませんが、違う方法も導入していかなければいけません。
このほかにも、まだまだ課題があります。例えば、ドリンクとお菓子を購入していただいたお客さんにセット割引したいときに、どうすればいいのか。現状、まだそのシステムは構築できていません。また、宅配にも対応していませんし、サブスクリプションにも対応していません。
外食や小売りで働いている人であれば、「それ常識でしょ」「あって当然でしょ」と思われることでも、まだ導入が進んでいません。不足している部分については、迅速に対応していく予定です。
土肥: いまはまだ“実験場”のような形なわけですね。
横田: お客さんにどんどん指摘していただいて、私たちはどんどん改善していく。このことを繰り返して、タイミングが来れば――。カフェのシステムを外販できればなあと考えています。
(終わり)
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