就活生暴行事件を生んだ真犯人:OB訪問という罠(2/3 ページ)
就職活動中の学生と個人的に会い、性的暴行を加えた一流企業社員が懲戒解雇されました。大学のキャリア支援の現場でも学生に注意喚起をしていますが、一方で事件を生む土壌も現在の就活システムには潜んでいるのです。
3.学生の責任は?
大学生とはいえ、成人した大人が自らの意思で、誰とどこで会い、何をしようが正に自由です。一流企業でバリバリやっている(自称だけど)というビジネスパーソンはさぞ輝いて見えることでしょう。その人物が個人的に就活アドバイスや面接練習をしてあげるという申し出をしてきて、それを無下に断るのは難しいだろうと予想できます。なぜ個人指導でなければならないか、異常性を冷静に判断できないとしてもすべて自己責任とするのは酷ではないでしょうか。
大学でキャリアを教える立場として、学内の授業であれば、自己責任の重さを伝えています。自分の身を守ることも社会人の義務であり、それができなければ社会人にはなれないこと、そもそも人の弱みに付け込む手合いは社会にいくらでもいることをしっかり伝えます。
くれぐれも異性社員と密室で2人きりになったりしないことや、2人で酒を飲むようなこともすべきでないと話しています。こうした適正な距離感を教えるところまでが学校の出来ることであって、それ以上の行動まで拘束は無理でしょう。しかし万一報道されているような、大学自らがOB訪問での、過度な個人的関係性を推奨しているとすれば、それは大きな責任問題だと思います。そんな大学はないことを祈るばかりです。
4.企業の責任
人事部門が正式に任命したリクルーター社員などであれば、こうした犯罪行為に手を染める可能性はほぼないだろうと思います。問題を起こすのは、人事命令でも何でもないボランティアでOB訪問を買って出る一般社員です。しかも自分自身がまだ就活から数年しか経っていない、恐らく面接官など務めたこともない平社員であっても、会社システムを知らない学生から見れば、皆一流企業社員に見えます。
関連記事
- 100万円で開発した「現金NGのカフェ」が、数年後に増えそうなワケ
秋葉原駅から徒歩5分ほどのところに、キャッシュレスのカフェが登場した。システム開発を手掛けるクラスメソッドが運営しているわけだが、一体どんな店なのか。店内に入って、注文したところ……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 「佃製作所はやっぱりブラック企業」と感じてしまう、3つの理由
ドラマ「下町ロケット」の特別編が放映され、14.0%という高視聴率を叩き出した。多くの人がこのドラマを見て胸が熱くなったかもしれないが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。ドラマの内容を考えると、「日本の未来に不安を感じる」という。どういう意味かというと……。 - 大学3年生に聞く、就職したい企業ランキング
2020年3月卒業予定の大学3年生は、どんなところで働きたいと考えているのだろうか。就職したい企業・業種ランキングを見ると……。リスクモンスター調べ。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.