続・スバルよ変われ(前編)――STI社長インタビュー:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)
スバルの問題点を指摘した記事『スバルよ変われ』。そこで書いた「安全と愉しさ」だけでもなく、スバルの中期経営計画(中経)についても疑義があった。それは手の内を何も明かさない中経に何の意味があるかという疑問だ。スバルはもっと情報を開示し、スバルとはどういう価値を生み出す会社なのか。
2月18日、筆者は、スバルの問題点を指摘した『スバルよ変われ』という記事を掲載した。
完成検査問題以降、スバルが立て続けに直面した不適切な問題の根底に何があるかについて考察した記事である。論旨としては「安心と愉しさ」とスバルは言うが、それが具体的に何を意味し、どういう技術で実現できるかを十分に説明していない。それではただのスローガンではないかというものだ。それに続いて、実際におかしな部分と、同様の問題について、ポルシェやトヨタやマツダがどうアプローチしているかについて解説した。
筆者は、かつて先輩から「批判記事は愛か怒りで書くべきだ。おちょくったり、批判者としての自分を引き立てるための記事は絶対に書いてはいけない」と教わった。
もちろん誠意を込めて書いたつもりだが、おそらく厳しい反論が主にスバリストから殺到するだろうと覚悟していた。しかし予想に反して、反論は少なく、むしろ同意の声を多くいただいた。
それはスバル社内でも同様だった様子で、ありがたいことに社内でも「よくぞ書いてくれた」と言う声が多かったとのことだ。
スバルは、筆者の疑問に答えるべく、STI社長兼スバル技監である平川良夫氏へのインタビューをセッティングしてくれた。なお平川氏は、取材後の4月1日の異動で、スバル技監兼STI技術顧問になった。
テーマはもちろん、『スバルよ変われ』で指摘した「安心と愉しさ」が中心だ。そしてもう一つ。スバルの中期経営計画(中経)についても疑義があった。それは手の内を何も明かさない中経に何の意味があるかという疑問だ。スバルはもっと情報を開示し、スバルとはどういう価値を生み出す会社なのかを明らかにしていくべきだと思う。
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