「10連休」が日本のためにならない、やっぱりの理由:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
10連休が終わった――。ある調査によると、連休明けに「会社に行きたくない」と答えたのは、8割にも上った。「働きすぎ」「もっと休まなければいけない」といわれている中で、なぜ10連休に批判の声が多いのか。
「みんなと同じでなくてはならない」という強迫観念
他国と比較して際立って低い賃金と有給休暇取得率、そして「KAROUSI」なんて不名誉な言葉を世界に知らしめた長時間労働やパワハラ。日本型組織が抱えるこれらの病理の根っこを探っていくとたいがい「みんなと同じでなくてはならない」という強迫観念へたどり着く。
これは何世代にわたって日本人に刷り込まれた思想なので、すぐには変えることはできないが、新しい時代を生きていくには、徐々にでも変えていかなければいけない。
そこでまずは、「連休」をズラして取得する「ズ連休」から始めてみてはどうか。
小中高生のいる人は家族そろって出かけるために連休を活用するのはしょうがないとしても、そうではない人はなるたけ連休中も休まない。その代わり4月から6月の3カ月間で、ゴールデンウィーク相当の連休が取得できるようにするのだ。
殺人的な満員電車を緩和しようと、鉄道会社が「ズレ勤」を推奨してもなかなかうまくいかないように、この「ズ連休」もすぐには定着しないだろう。
だが、それでもやってみる価値はある。戦時中から続く「みんなで働き、みんなで休む」という全体主義の呪いから抜け出すには、「連休」というものをあらためて見直す必要があるのだ。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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