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市場は縮小しているのに、なぜトラとコイの国語辞典は好調なのか水曜インタビュー劇場(阪神・広島公演)(3/6 ページ)

三省堂の国語辞典が売れていることをご存じだろうか。昨年「タイガース仕様」を発売したところ売れて、今年「カープ仕様」を発売したらまた売れて。「辞書」といえば「カタイ」イメージがあるが、なぜ同社は球団愛に満ち溢れた辞書をつくったのか。

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直感的に「これはイケル!」

土肥: 会社の同僚と、酒の席で盛り上がることはよくありますよね。「こんな新商品はどうか」「このネタはおもしろいかも」といった会話をよくすると思うのですが、明日になったら忘れている。「あれ、昨日どんな話をしていたっけ?」と。覚えていても、「昨日は盛り上がったけれど、シラフになって考えてみると、そんなにおもしろくないよね。さ、仕事、仕事」といった感じで、酒の席で盛り上がった話を実現することは難しい。

瀧本: ところが、翌日、焼き鳥屋で飲んでいた若いメンバー4人が、ワタシのところにやって来たんですよね。「阪神タイガース版の辞書をつくりたいと思っているのですが、無理ですかね」と。この話を聞いたとき、直感的に「これはイケル!」と感じました。

土肥: ほー。それは、またなぜ?


前見返しには阪神甲子園球場の写真を掲載

瀧本: ワタシは京都出身で、子どものころから大の阪神ファンなんです。このことを知っていて、ワタシのところに相談しに来たのかどうか分かりませんが、その場で「オレがやる!」と言ってしまいました(苦笑)。

 既存の辞書をタイガース仕様にするには、どうすればいいのか。ケースに大きなロゴマークと縦じまを入れて、帯には「六甲おろし」の歌詞を掲載して、見返しには甲子園球場の写真を載せる。現在、完成している形のアイデアが30分ほどで浮かんできました。

 ただ、アイデアは出てきたものの、著者の先生方から了承は得ていませんし、デザイナーさんにも相談していません。本来であればこうした仕事の進め方はよくないのですが、「今回は特別だ!」と自分に言い聞かせて、とにかく実現に向けて走り出しました。

土肥: 辞書の著者に相談するって、大変そうですね。家に行っても、パイプをくわえて「なんのようじゃ?」と聞かれ、帯に「六甲おろし」の歌詞を掲載した辞書をつくりたいといっても「なぬ? けしからん!」と怒られそうで(汗)。

瀧本: 恐る恐る「こういうプランがありまして……」とお伝えしたところ、予想以上に先生方はのりのりになられて。著者メンバーのなかに、阪神ファンは1人もいなかったのですが、「それなら、ここはこのようにしよう」といった感じで、話がどんどん前に進んでいきました。

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