宇宙飛行士のコストの8割は交通費 GITAIが開発する宇宙ロボットが必要な理由:ロケットだけではないSpaceTech(1/3 ページ)
官から民へ宇宙開発事業が動いていく中で、宇宙に関わるスタートアップが成果を出しつつある。宇宙ステーションなどでの作業や実験を、宇宙飛行士に代わって行うロボットを開発しているGITAIもその1社だ。
イーロン・マスクのSpaceXや、ホリエモンロケットことインターステラテクノロジズのMOMOなど、宇宙をターゲットにしたスタートアップの話題が尽きない。その派手さや多額の費用が必要なことから、ロケットが注目されることが多いが、宇宙に関わるスタートアップ企業はさまざまな領域で活躍している。
2016年から宇宙作業用のロボットを開発しているのが、GITAIだ。
代表の中ノ瀬翔CEOは、「人間が行く代わりに宇宙にロボットを送る。交通費が高い、危ないところにロボットを送る。生身の人間だと1日に6.5時間しか働けない。ロボットなら24時間働ける」と狙いを話す。
宇宙飛行士のコストの8割は交通費
宇宙での活動に対するニーズは増加している。創薬研究や科学実験などに無重力環境を活用したいという需要はあるが、コストがネックだ。ロケット分野では、これまで100数十億円掛かっていたものが、SpaceXのロケットFalconで60億円に下がったと言われているが、それでもまだ高い。
特に、実験などを行う宇宙飛行士のコストが高く、1時間当たり5万ドル(約550万円)もかかるという。1日で1億円超だ。
「このコストの8割くらいが交通費。なぜ宇宙と地上を頻繁に行ったり来たりする必要があるかというと、宇宙放射線があるから。発がんリスクが閾値を超えるので、生身の体だとトータルで宇宙に2年くらいしかいられない」(中ノ瀬氏)
宇宙飛行士の代わりに、宇宙ステーションで実験などの作業を行うロボットを送り込む。これにより、単価を10分の1に削減することを狙っている。
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