「夫婦観」をアップデートせよ――添い遂げる美徳より、今ベストを尽くすこと:人生100年時代の「結婚」とは(1/5 ページ)
今、われわれは「夫婦観」をあらためて問い直し、アップデートすべき過渡期にいる。公私ともにパートナーとして人生を歩むCRAZYの二人への取材を通して、これからの時代における「夫婦観」を考えたい。
情報格差、所得格差、働き方格差……。テクノロジーの高度化などを背景に、時代の変化するスピード、激しさが増すうち、人びとの間でさまざまな格差、分断が生まれ、それを埋めること、埋めるために必要なすり合わせをすることがますます難しくなってきたように感じられます。
それは、親と子どものような世代間だけでなく、「夫婦間」でも同じではないでしょうか? 変化のスピードが加速し、夫・妻、それぞれ「個人」にとって、多くの転機が訪れるようになり、二人がいつまでも同じ方角を向き続けるのは、現実的ではないかもしれません。
また最近では、結婚せず、独身でいたとしても、共同生活、シェアリングエコノミーなどで、生活上の多くの負担を減らすことができるようにもなってきました。「子どもを持たない」という選択肢に対しても、少しずつではあるものの社会は寛容になりつつあります。
私たちは今、自らの「夫婦観」をあらためて問い直し、アップデートすべき、過渡期にいます。
そこで今回は、オーダーメイドウェディングを手掛けるCRAZY WEDDING代表取締役社長の森山和彦さんと、その妻であり、CRAZY WEDDING創業者・BRAND MANAGERを務める山川咲さんを取材。仕事柄、多くのカップルと接し、また、公私ともにパートナーとして人生を歩む二人の話を通して、これからの時代における「夫婦観」を考えます。
結婚することに何の疑いも持たない時代だった
――まず、二人の出会いと結婚に至るまでの経緯を伺えますか。
(左)CRAZY BRAND MANAGER 山川咲。2006年に入社した人材系コンサルティング会社にて人事新卒採用責任者として活躍。数々のプロジェクトやイベントを立ち上げ、メディアの注目を浴びる。2011年、同社を退職。オーストラリアでの2カ月間の旅を経て、完全オーダーメイドのCRAZY WEDDINGを創業。ウエディングで業界に革新をもたらし、16年5月には毎日放送「情熱大陸」に出演。その後、産休・育休を経てIWAI OMOTESANDOの立ち上げに携わる。著書に『幸せをつくるシゴト』(講談社)がある (右)CRAZY 代表取締役社長 森山和彦。人材コンサルティング会社での6年半の勤務を経て、2012年7月に株式会社CRAZYを創業。同社のビジネスを成長させながら、全社員で1カ月休んで世界一周など、独自の組織運営を実践。18年「働きがいのある会社」および「働きがいのある会社 女性ランキング」初エントリーにてダブル受賞するなど、ユニークな経営手法が注目される
森山: もともと、咲とは新卒で入った会社の同僚で、僕が先輩で咲が後輩という関係。僕は当時23歳で彼女がいましたが、結婚願望はあまりなく「40歳くらいで20代の子と結婚したいな」くらいに思っていたんです。だけど、3カ月間、咲とチームで仕事をして、自分と違う価値観や世界で生きている彼女に惹(ひ)かれるようになって。「彼女となら面白い人生になりそう。結婚もいいかもな」って思えるようになり、8カ月くらい経(た)って付き合い始めました。
山川: 私はメンクイなので、こういう顔の人と付き合うのは想定外だったんですよ(笑)。でも、すっごく仲が良くて。この人は上司というより「チームのお父さん」。それまで私は、どんなに仕事で結果を出しても焦燥感に駆られてばかりで、自分を否定するタイプでした。だけど、森ちゃんと会った時に「咲ちゃんの人生って本当にすばらしいよ」って、人生を丸ごと肯定してくれる感じがあって。「この人とだったら自分の人生、これでよかったと思えそうだ」って感じたんです。
――当時はどういう思いで結婚したのでしょうか?
山川: どういう思い……私たちが結婚したのは10年前なんですが、あのころは「結婚する」っていうこと自体に何の疑いも持たなかった。私は付き合ったら結婚したい人だったし、結婚式だってしたかったし。
森山: 僕はもともと、結婚願望が一切なかったんですが、今思うとおそらく何も考えてなかったんだと思います。「結婚」って言われてもリアルに感じられないし、自分がよく知る夫婦って自分の親くらいしかいないので、「じゃあ、親と同じことをしたい?」ってなった時に、そうじゃないな、とも。それでも、こういう出会いがあった時に自分はどう考えるかですよね。咲とは価値観は違うんだけど、一緒にいるだけでとにかく楽しかった。
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