「夫婦観」をアップデートせよ――添い遂げる美徳より、今ベストを尽くすこと:人生100年時代の「結婚」とは(2/5 ページ)
今、われわれは「夫婦観」をあらためて問い直し、アップデートすべき過渡期にいる。公私ともにパートナーとして人生を歩むCRAZYの二人への取材を通して、これからの時代における「夫婦観」を考えたい。
もはや相手は関係ない? これからは「パートナー」
――「価値観が違うけど一緒にいたい」と思えるってすてきですね。人生が進むにつれ、価値観の違いを理由に別れるカップルもいます。
山川: だけど、価値観が同じ人なんていませんよね。離婚するときだけ、価値観の相違を持ち出すのは私は違う気がしていて……。「目指すものが違う」なら分かります。人生においてもビジネスにおいても成長や革新を目指す人と、現状維持で緩やかに生きたい人とでは人生を生きる速度が違う、みたいな。私は自分の人生を肯定しながら、未来に向かって生きていたい。結婚はそのためのもの。もはや相手は関係ないというか、だけど自分一人じゃ自分の人生って肯定できない。
森山: 会社でいうところの「ビジョン」ですね。僕たちも、人間を尊重したい、家族を大事にしたいとか大きな価値観は近いですけど、休みの日はこうしたい、子育てはどうしたいとか、そういう考えは同じじゃない。夫婦で一番違うとまずいのは、人生どこに向かっていくのかっていうビジョン。そこが違う場合は「話し合おうか」ってなりますね。
山川: 今って、結婚することが目的で婚活する人もいるじゃないですか。でも本来、自分の中に進みたい人生の方向があって、この人といたらもっとその人生に近づけると思うから結婚すると思うんですよ。そうじゃなかったら、結婚って面倒なこともいっぱいあるし、ずっと独身でも日本にいるかぎり食べていけないこともない。結婚ってしなくてもいいものじゃないですか。
森山: 自分がどう成長できるか、成長をどう喜び合えるかが、パートナーシップで大切なことだと思います。何かの本に書いてあったんですけど、どんな人間になりたいか、社会でどう活躍したいか、こういうふうに笑っていたいとか、そういう人生のビジョンに向かっていくために、パートナーと一緒に人間を磨き合う行為が結婚。これって難しいことだけど、だからこそすばらしい。「この人はちゃんと稼いできてくれるだろうから結婚しよう」なら、それってアッシー、パトロンでいい。子どもがほしいにしても、今は結婚しなくてもいろんな方法があります。正解はないけれど、結婚する意味、夫婦である意味について、ちゃんと考えたいって思います。
――たくさんの成婚されたカップルを見てきたと思いますが、夫婦観について時代の変化を感じることはありますか?
山川: 夫婦の対等感ですかね。以前は結婚式のプランにしても、奥さんが旦那さんに「どうする?」って聞くシーンが多かったように思いますが、今は一緒に考えている感じがします。昔は男性が抱っこ紐(ひも)をしていたら「尻に敷かれているのかな」って思われていたけど、最近では当たり前になってきたのもそうで。
森山: 夫婦の在り方が多様化していますよね。ただ、気を付けないといけないのは、多様化するからこそ、他の家庭と自分の家庭を比べて批判してしまいそうになること。「うちの旦那は何もやってくれない」とか、そういう気持ちを持つことが不毛だと思うんです。何より重要なのは、夫婦で話せる関係にあるかということ。話もしないで「うちの旦那はダメだな」とジャッジするって、それでは人間として成長できてない。
山川: うちは努力と投資をしてます。
――具体的にどのような努力をされていますか?
森山: 夜食事に誘うとか、旅行の計画を一緒に立てるとか、デートをするとか。「あなたと一緒にいるのが楽しいよ。あなたが大切だよ」とアテンションを示すことですね。
山川 私たちが特に努力してるって言えるのは、会話しようとしていること。今このモヤモヤしていることについて、話せば揉(も)めると分かっているし、面倒だし、諦めたほうが早いけど、そのまま放置するのはやめようよって。愛想をつかさず、何度でも、諦めずに向き合い続けることにとんでもない時間を費やしています。他の人たちに「仲良くていいね」って言われるんですけど、「別に何もしないでラブラブなんじゃないよ」って、声を大にして言いたいですね。
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