「夫婦観」をアップデートせよ――添い遂げる美徳より、今ベストを尽くすこと:人生100年時代の「結婚」とは(5/5 ページ)
今、われわれは「夫婦観」をあらためて問い直し、アップデートすべき過渡期にいる。公私ともにパートナーとして人生を歩むCRAZYの二人への取材を通して、これからの時代における「夫婦観」を考えたい。
添い遂げる美徳より、今一緒にいるためにベストを尽くすこと
――成長していく中でお互い進みたい方向が違うために別れを選ぶこともあると思います。
森山: 人生100年時代、離婚は増えるでしょうね。100歳まで一人の人と寄り添い続けるのはなかなかできないこと、より自由になっていくと思います。ずっと一緒にいることがいいのかっていう話もありますし、別れを「離婚」と呼ばなくなるかもしれない。結婚とは50年間の契約で、それを更新するかどうかは、また50年後に話し合いましょう、だとか。
山川: 「添い遂げる美徳」みたいなのがありますが、未来永劫、一緒にいることが重要なのではなく、今一緒にいたいと思えることが大事だと思っていて。それは、「今だけ」一緒にいたい、という感じでも、かと言って、割り切る感じでもない。だけど、少なくともお互いにベストを尽くせないのに添い遂げるというのは違う。一緒にいるかぎりはベストを尽くすというのは、会社で働くにしても夫婦でも一緒だと思います。
――夫婦観が変わる中で、これから個人としてできることは?
山川: これからの時代って、幸せの定義が決まっていない未体験ゾーンに入るじゃないですか。正解がない新しい時代。だけど、死ぬときにどうあることが幸せかって、みんな考えたら自分なりの答えはあると思うんですよね。自分なりの答えに向かって生きていくことがすごく大事で。そういうことを人がそれぞれ考えることがすごく大事だと思います。
森山: 今必要なことって、2つあると思っていて。1つは古典から学んだほうがいいということ。夫婦観にしても、今は近代の情報ばかり入ってくるけど、時代は繰り返すし、人ってそんなに変わらない。昔から人間として大事にしてきたことを知ったほうがいい。もう1つは、夫婦に他人の目を入れること。家族同士でホームパーティーをしたり、こうやってインタビューしてもらったり、カウンセリングしてもらったり。自分たちを客観的に見ることができれば、また拡張につながる。結婚式や節目のお祝いごともある意味、そういう機会なんですよね。
山川 確かに、第三者に話を聞いてもらうことは大切。夫婦って、お互いの中にある夫の印象、妻の印象に苦しんでいると思うから。最近冷たくなった、愛してくれなくなったとか。でも、他の人と話せば、そうじゃない現実が言語化される。
森山: 夫婦の世界って今すごく閉じていますが、そこが問題ですよね。閉じられた組織ってやばいじゃないですか。人を家に呼んで、夫婦をもっとオープンにしたほうがいいと思います。
(取材・文:中森りほ、岡徳之<Livit>/撮影:中森りほ)
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