「夫婦観」をアップデートせよ――添い遂げる美徳より、今ベストを尽くすこと:人生100年時代の「結婚」とは(4/5 ページ)
今、われわれは「夫婦観」をあらためて問い直し、アップデートすべき過渡期にいる。公私ともにパートナーとして人生を歩むCRAZYの二人への取材を通して、これからの時代における「夫婦観」を考えたい。
「相手から学ぼうとすること」が大事
――夫婦間の衝突は、機会だと。
山川: うまく向き合えている自信はないですけどね。重要なのは、向き合うことを決めて、関係性を良くしたいと思えることだけだと思います。
森山 結婚関係においては、相手を尊敬することが大事だと言われますが、言葉を変えると「相手から学ぼうとすること」が大事だと思うんです。僕にとって結婚のすばらしさは、自分が成長でき、相手と人生で深いつながりができること。でもそれも、結婚をどう定義するかによって変わるものだから、相手とは常に認識を合わせる必要がある。今はそれができているから満たされているのかな。
――「衝突」でいうと、結婚はコスパが悪い、合理的じゃないという論調もあります。どう思いますか?
山川 むしろ、結婚ってコスパいいと思うんだけどな。私はこの命をかけるなら世の中にとって価値があることをしたいと思って今の仕事をしているんですが、世の中で一番価値があることって、死ぬときに「この人生でよかった」と思えること。そのためには「自分の人生を生きた」「大切な人とつながれた」という二つの実感が自分には必要で。夫婦から始まる家族という存在は、そこに大きく貢献するものの一つなんじゃないかと。自分の意思で、それまで関係なかった赤の他人と、新しい家族をつくるというのは、私的な人生のゴールから考えると、確かに非効率ではあるけれど、とても合理的というか。
森山: コスパって、何に対するコスパなのか? っていうのがありますよね。コストは時間とお金だと思うんですけど、パフォーマンスのほうを実はみなさん、あんまり意識していないんじゃないかって。お一人さまだとお金を自分だけにかけられる。好きなときに好きなビールを飲む、だとか。だけどそれは、深く話し合えるパートナーに出会うような、本当に意味のあるパフォーマンスは得られないかもしれない。「コスパ」を口にする人って、僕からすると、「今ある自分のライフスタイルが脅かされるんじゃないか」っていう考えなのじゃないかと思い、自分勝手に感じられます。
きっと、あまり人とのつながりがないから不安になるんです。だとすれば、つながりをつくる、パートナーはいなくても、家族としっかりつながることを、あらためて考えたほうがいいと思うんですよ。今は、夫婦観の転換期、言ってみれば、混沌期。いろんな夫婦の在り方を「知る」という段階で止まっているからつらく感じる人が多いのかもしれません。知った上で、自分で考え、行動してみて、「こういう生き方いいな」って見つけていくのが、拡張。だから、自分で考えて行動する必要があると思うんですよね。
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