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終身雇用の“終わり”で「ジョブ無しおじさん」は生き残れるか 城繁幸氏に直撃経団連・トヨタのトップが示唆(1/4 ページ)

財界トップが相次ぎ終身雇用の見直しに言及。年功序列から職務給への移行で「ジョブ無しおじさん」は生き残れるか。人事コンサルタントの城繁幸さんに直撃。

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 経団連の中西宏明会長やトヨタ自動車の豊田章男社長など、財界トップによる終身雇用の見直しを示唆する発言が波紋を呼んでいる。正社員が定年まで勤め上げる仕組みが前提とされてきた日本企業の在り方が、大きな転機を迎えようとしている今。日本の人事制度、特に終身雇用に鋭い批判を投げかけてきた、人事コンサルタントで作家の城繁幸さんに直撃した。

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終身雇用の見直しで「特筆するジョブの無い」中高年はどうなるか(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

「就活ルール廃止宣言」の衝撃

 ――今回の相次ぐ財界トップによる「終身雇用は難しい」といった発言についてどう評価しますか?

城: 画期的なことだと思います。従来の日本の経営者は、連合(日本労働組合連合会)などより日本型の終身雇用を評価してきました。日経連(2002年に経団連と統合)も「終身雇用はずらさず非正規を活用」などと言っていましたし。経営者は自らが(出世競争の)“チャンピオン”なので、終身雇用制度を評価してきました。

 ただ、現場レベルでは終身雇用が到底無理だという話は10年前から言われていました。特に人事セクションの人々が理解していました。制度のチャンピオンである経営者の周囲には、“準優勝”や“3位”くらいの人も集まっている。「何でこんなに優秀な人ばかりいるのか」と思っているでしょうね。でも、人事担当は逆の人々と向き合っている。「何でこんな人を雇わなくてはいけないのだろう」と。

 そして中西会長の発言は、自らが(終身雇用制度の)チャンピオンでありながら、それでは通じなくなったということを認めたのです。皮肉ですが、仕方ない。この制度への批判がタブーでは無くなったということですね。

 ――城さんは以前から日本的な終身雇用制度の廃止を提言し、いずれそうなると論じてきました。今回の彼らの発言に意外感はありましたか?

城: 僕はこういうトレンドを10年以上前から見てきたので、サプライズな感じは無かったです。

 18年の(中西・経団連会長による)就活ルールの廃止宣言が一番サプライズでしたね。あれで「終身雇用も見直すな」と思いました。一括採用をやめるなら、終身雇用は両立しないのであり得ない。新卒の間でも待遇を変えるのだから。東大卒のAI(人工知能)の技術が扱える新卒の学生を年収800万円で採るのなら、その人は年功給で上がっていくわけがない。

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