米国で“肉のようで肉でないモノ”が売れている、2つの理由:肉の概念を変えた(1/5 ページ)
米国でミートレス食品を製造するインポシブル・フーズが、話題になっている。いわゆる肉の代替え食品を扱っているわけだが、なぜフーズ社の売り上げが伸びているのか。2つの理由があって……。
食文化の歴史において、社会に強い影響を及ぼした「イノベーション」といえば、缶詰(1809年〜)や冷凍食品(1924年〜)などの登場が挙げられる。そして近年、そうした発明に匹敵するほど話題になっているのが「ミートレス」食品だ。
ミートレスは、大豆などの植物由来の原材料を加工して作られる、いわゆる肉の代替え食品のことだ。ただ決して新しいジャンルというわけではない。この手の食品はずいぶん前から存在しているからだ。
しかし、その技術が近年になって飛躍的に伸びているため、本物の肉に限りなく近い「肉ではない」食品として、米国でムーブメントを巻き起こしている。
そのミートレス食品を製造販売する企業の中でも、いま勢いに乗っている企業が、「Impossible Foods(インポシブル・フーズ)」(以下、フーズ社)だ。
フーズ社は、最近も3億ドルの追加資金調達をしたばかりで、ビル・ゲイツ、Jay-Z、セレナ・ウィリアムズ、ケイティ・ペリーなど、名だたるセレブが投資していることでも知られる。
さらに、ファストフード大手のバーガーキングが、フーズ社のミートレスパテを使用したバーガー「Impossible Whoppers」を全米展開することを発表したばかりで、ますます話題になっている。
なぜそこまで、フーズ社が注目されているのだろうか。今、急成長している同社のビジネス戦略を注意深く見ていくと、その成功には2つの特徴がある。
まず最大の特徴は、フーズ社が、ベジタリアンをターゲットにしていないことだ。一般的に、植物由来の原材料を加工して製造したハンバーガーは、「ベジバーガー」などと表記され、肉類を一切食べないベジタリアン向けの商品として提供されている。
しかし、フーズ社が製造する「インポシブル・バーガー」は、一般的なベジバーガーとは全く違ったコンセプトで作られている。それは、肉の味をリアルに再現することだ。
つまり、ターゲットはベジタリアンではなく、普段から肉を食べているごく普通の消費者なのだ。フーズ社は、ベジタリアン向けのニッチな市場ではなく、大胆にも2000億ドル規模の食肉市場へ狙いを定めている。
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