“絶体絶命”のファーウェイ、「伝説の創業者」のDNAに見る“それでも強気な理由”【後編】:いかにして「苦境」を乗り越えてきたか(5/5 ページ)
米国の制裁に揺れる中国通信機器・端末大手のファーウェイ。絶体絶命の窮地に追い込まれたかに見える一方、創業者の任正非(じん せいひ)を筆頭にファーウェイ関係者は強気な姿勢を崩さない。
焼け野原にされても再建する
5月21日、中国メディアの取材を受けた任は次のような言葉を残している。
二つの物語を紹介したい。第二次世界大戦におけるドイツと日本だ。降伏しなかったドイツは焼け野原にされた。ヤルタ会談で残すと決めた場所以外はみな更地になった。日本もひどい爆撃を受けた。米軍は日本全部を焼け野原にするつもりだったが、日本が天皇制の保持を条件に投降したため、破壊し尽くされまではしなかった。だが、工業の基盤は破壊された。当時の有名な言葉に「何もなくなったが、人さえいれば復活できる」というものがある。果たして、ドイツはあっという間に再興し、街並みも元通りになった。日本経済も速やかに復興した。人材、教育、基盤があったからこそだ。これが一番大事な点だ。たとえ全てを失っても、人だけは失ってはならない。人の素養、技術、信じる気持ちこそがもっとも重要なのだから。
日本とドイツの物語から、任は、たとえ焼け野原にされたとしてもファーウェイは再建できるとの覚悟を示した。
著者プロフィール
高口康太(たかぐち こうた)
ジャーナリスト、翻訳家。 1976年生まれ。中国経済・企業、中国企業の日本進出と在日中国人社会をテーマに取材を続けている。現地取材を徹底し、中国国内の文脈を日本に伝えることに定評がある。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)、『現代中国経営者列伝』(星海社新書)。ニュースサイト「KINBRICKS NOW」、個人ブログ「高口康太のチャイナ・ウォッチング」を運営。
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