コラム
「マツキヨ・ココカラ連合」誕生が意味するもの:小売・流通アナリストの視点(5/5 ページ)
ドラッグストア大手マツモトキヨシとココカラファインの資本業務提携が意味するものとは――。
「地方の競争激化」にも高みの見物
業界トップシェアを奪われた当時のマツキヨは、凋落(ちょうらく)を懸念する論調も少なくなかったが、同じく都市部で存在感を持つココカラと組むことで、首都圏、京阪神でのトップシェアを確立した。この連合の店舗網には、インバウンドの恩恵を最も享受できるという追い風も吹いている。マツキヨ・ココカラ連合は、これから起こる地方の競争激化に対して、ある意味、高みの見物を決め込むこともできる。
縄張りの外周部で起こる競争の様子を見つつ、脱落する企業に手を差し伸べるというパターンで、優位に業界再編を進めていくことが可能になったのである。ライバル企業は今後、地方での競争で勝ったとしても、負けた側がマツキヨ・ココカラ連合に駆け込んでしまえば、この連合が漁夫の利を得る。ライバルにとっては今後の競争がやりづらくなったことは間違いなかろう。
マツキヨ・ココカラ連合の誕生は、ドラッグストア業界にとっては、マツキヨがトップシェアを奪還といった単純なニュースではなさそうだ。最終段階の入りつつあるドラッグストア業界の再編のターニングポイントだった、と流通史に残る出来事なのかもしれない。
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