くら寿司が年収1000万を出しても幹部候補生を採りたい理由:リスクを背負える人が欲しい
くら寿司が2020年春入社の新卒採用で年収1000万を提示して幹部候補生を募集している。その狙いは?
幹部候補生を年収1000万円で募集します――くら寿司が公開した「エグゼクティブ新卒採用」の募集条件が話題になっている。この取り組みで同社は、2020年春入社の新卒採用において、26歳以下でTOEIC800以上、簿記3級以上を持つ人材を10人ほど採用する計画という。
新卒採用で高度なITスキルを持つ人材などに高年収を提示する例は増えているが、飲食店では珍しい取り組みだ。しかし、社員の平均年収(450〜500万)の2倍近い金額を払ってまで、業務経験のない新卒を採用する理由はどこにあるのか。
エヌピーディー・ジャパンCRESTの調査によると、国内における回転寿司の市場規模は、15年に6000億円の大台に乗り、18年には6756億円に到達。各社が勝ち残りに向けしのぎを削る中、くら寿司が力を入れているのが海外展開だ。
くら寿司の広報担当者は「海外事業を2本目の大きな柱に育てようとしているが、海外展開を積極的に行うための人材が足りていない」と話す。何年も中途採用で経営の中核を担う人材を募集してきたが、人材不足は続いており、「若い人の中にもそういう人材がいるのではないか」と新たに新卒採用も行うことにしたという。
1000万は思い切った金額だが、広報担当者は「学生にとってもハイリスクハイリターンな取り組みだ」と説明する。幹部候補となった学生は年俸制での雇用となり、実績ベースで1年ごとに年収を見直す計画だ。期待に見合った成果を出せなければ、2年目以降は年収が下がる可能性もある。「成果によって年収が下がるのが嫌な人は要らない。ハイリスクだと分かった上で、年収に見合う結果を出す意欲のある人材を求めている」(広報担当者)
エグゼクティブ新卒採用で採用した学生は、経営理念や店舗業務などを学ぶための研修を2年間受けた後、1年程度の海外研修を経て配属となる。広報担当者は「ハードルの高い要求になるが、さまざまな部署の仕事を把握するだけでなく、どんな課題があり、どう解決すべきかを見つけてもらいたい」としている。
募集開始から続々と学生のエントリーが集まる他、社内でも同様に幹部候補の公募を開始している。「結果を出そうという意欲のある“ギラギラした人”が欲しい。どんな人が応募してくれるか楽しみにしている」(広報担当者)
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