行列ができた「ワークマンプラス」、その後どうなったのか?:水曜インタビュー劇場(旋風公演)(6/6 ページ)
カジュアルウェアの新業態「ワークマンプラス」が好調である。2018年9月にオープンしたところ、レジに行列ができて、入場制限をかけることも。日本中に旋風を巻き起こしたわけだが、その後はどうなったのか。同社に取材したところ……。
急成長の裏で、課題が浮上
土肥: ワークマンプラスにすることで、店舗の売り上げを倍にする。目標の2億円に達したら、次は3億円なのでしょうか?
土屋: いえ、いまのところ「2億円が限界ではないか」と見ているんです。なぜか。ワークマンの標準店は、売り場面積が100坪で、商圏10万人のところに出店する。2人で運営して、年商1億円を目指すといった形でした。
そうしたビジネスモデルで運営しているのに、売り上げが2億円以上になったらどうなるのか。朝、品出し用の段ボールが150箱を超える。そうなると5〜6人が必要になるのに、そのスタッフを集めることができるのか。また、段ボール150箱を置ける設計になっていないところがあるのに、そんな店でも問題なく運営できるのか。
このほかにも駐車場の問題も解決しなければいけません。標準店には10台分の駐車スペースがあるのですが、多くの一般客が来られると不足することが想定されます。現場で働かれている人たちは常連なので、どこに何があるのかをよく知っている。商品の値札を見ずに、カゴにどんどん入れていく人が多いんですよね。
一方の一般客はどうか。どこに商品があるのかよく知らない人が多いので、店内をウロウロされる。そして、値札を見られる。「いくらかな?」「素材は何を使っているのかな?」といったことを確認される。
土肥: 一般的な話でいえば、店での滞在時間が長ければ長いほど、売り上げは伸びる傾向がありますよね。
土屋: もちろん、「買い物時間を短くしてください」といった話をしているわけではありません。店内での滞在時間が長くなれば、それだけ駐車場にクルマを停めている時間も長くなりますよね。そうすると、買い物に来たのにクルマを停めることができない人が増えるかもしれません。結果、お客さんの満足度が低下するかもしれないので、この問題もなんとかしなければいけません。
土肥: 急成長の裏で、さまざまな課題が出てきたわけですね。
土屋: 私たちはワークマンのブランドを捨てようとしているのに、その一方で、プラスの価値を下げるようなことはできません。プラスの店をどんどん増やしたいのですが、オペレーションのまずさや、店舗の物理的な問題などで、お客さんの満足度を下げてはいけません。満足度を高めるために、私たちにできることは何か。それを考えながら、次の展開を考えていかなければいけません。
(終わり)
書籍&CDが出ました!
ITmedia ビジネスオンラインの連載をまとめた書籍『バカ売れ法則大全』(行列研究所/SBクリエイティブ)が発売されました。本連載「水曜インタビュー劇場」の人気記事をピックアップして、大幅に加筆。また弊誌では掲載していない記事もご紹介しています。また、本連載をまとめた『ササる戦略』(三才ブックス)も発売していますので、合わせてどうぞ。
さらに、水曜インタビュー劇場のMCを務める土肥義則のCDが発売されました。「全国経営者セミナー」での講演を収録していますので、ぜひビジネスのヒントに!
関連記事
- ちょっと前までチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が、減速した理由
ブームの牽引役などとチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が叩かれている。2018年12月決算は、8年ぶりに赤字。低迷の原因として、米国での閉店や類似店舗の増加などが指摘されているが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。それは……。 - えっ、炊飯器じゃないの? 三菱電機の高級トースターが面白い
三菱電機が高級トースターを投入する。この市場を見ると、バルミューダ、アラジン、シャープなどたくさんの商品が並んでいるが、三菱のトースターはどのような特徴があるのか? パッと見たところ、小さな炊飯器のように……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 「ハイボール 1杯50円」で、どうやって儲けているのか 鶏ヤローのカラクリ
首都圏の繁華街を歩いていると、「角ハイボール 50円」と書かれた看板を目にするようになった。激安の雰囲気が漂うこの店は、どのような特徴があるのか。運営会社の社長さんに話を聞いたところ……。 - ワークマンの大ヒットは、「安いのに高機能でオシャレ」だからではない
ワークマンの勢いが止まらない。今年4月の国内店舗数はユニクロを超え、売上高も大幅に伸ばしているのだ。同社の成功要因として「激安なのに高機能でオシャレ」といった指摘が多いが、本当にそうなのか。筆者の窪田氏は違った見方をしていて……。 - 築46年なのに、なぜ「中銀カプセルタワー」に人は集まるのか
新橋駅から徒歩5分ほどのところにある「中銀カプセルタワービル」をご存じだろうか。立方体の箱がたくさん積まれていて、丸い窓が並んでいる。1972年に建てられたこのビルが、数年前からジワジワ人気が出ているのだ。その謎に迫ったところ……。 - なぜ「スーツみたいな作業着」をつくって、しかも売れているのか
スーツのような作業着「WORK WEAR SUIT(ワークウェアスーツ)」が売れている。製造しているのはアパレルメーカーでもなく、作業着メーカーでもない。水道工事などを行っている会社がつくったわけだが、なぜこのような商品を開発したのか。その狙いを聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.