Appleのどこまでも本気な環境への取り組み:循環型経済の構築(6/6 ページ)
循環型経済の構築に向けた取り組みが評価され、Appleが環境省から表彰された。Appleで環境・政策・社会イニシアチブ担当副社長を務めるリサ・ジャクソン氏に話を聞いた。
環境配慮への第一歩:Cradle to Cradle認証
さて、これから日本の製造業が環境問題と真剣に向き合い、事業転換の第一歩を踏み出すにはどうしたらよいだろうか。
Appleはジャクソン氏という環境問題のエキスパートを雇い、循環型の製造、素材、エネルギーなど非常に多面的な環境への取り組みを行ってきた。しかし、これまで環境に関心のなかった経営者が、いきなりこれだけ多様な視点を身につけるのは難しい。
そこで筆者がオススメしたいのが「Cradle to Cradle」(ゆりかごから次のゆりかごへ)認証だ。
「Cradle to Cradle」認証では、(1)材料の健康性、(2)材料の再利用、(3)再生可能エネルギーの利用、(4)水のスチュワードシップ、(5)企業の社会的責任 という5つの視点を設定し、それぞれの視点に対して5段階の評価を行っている。ちなみに(5)の社会的責任は、自社のスタッフやサプライチェーンのスタッフの労働環境に関する基準だ。
今回、この件についてジャクソン氏に詳しく聞く時間はなかったが、AppleのWebサイトでは、その施策を詳細に紹介したページが用意されている(「私たちはあらゆる活動において、人を第一に考えます」 )。
Appleは特定の認定サービスなどに依存することなく、自ら世の中のほとんどの環境基準よりもはるかに厳しい環境基準を設定し、それにチャレンジしているが、そこまでできない企業でも「Cradle to Cradle」はよい出発点になると思う。
もちろん、エシカルで「人類の未来にとって良い」といえるモノづくりを広めるためには、消費者自身も「本当に良いモノづくり」とは何かを学び、製品を吟味することが大事だろう。
この点についてジャクソン氏に意見を求めると、彼女は楽観的に「日本の状況は分からないが、米国などでは若い世代を中心に、こうしたことについての意識がかなり高くなってきている。だからAppleとしては、環境的な視点から見ても品質の良いモノづくりに努めていけば、それでいいと思っている」と答えてくれた。
蛇足になるが、これまで環境問題にあまり関心がなかった世代の人たちは、銀座へ行く機会があったら銀座ロフトの1階にある「GO FOR SUSTAINABILITY by BIO HOTEL」を訪れてみてほしい。
銀座LOFTの1階にオープンした「GO FOR SUSTAINABILITY by BIO HOTEL」のコーナー。そこかしこに書かれている説明が面白く、「サーキュラーエコノミー」(循環型経済)について学べる場にもなっている
そこではCircular Economy Japanという団体によって「Cradle to Cradle」の取り組みが紹介され、「より健康で心地よい暮らし」と「社会的課題の解決」を両立させる、サステナブル(持続可能)なライフスタイルのための商品が世界中からセレクトされて並んでいる。
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