NZ産のキウイは「アゲアゲ」なのに、なぜ国産は「サゲサゲ」なのか:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
「キウイ食って アゲリシャス アゲリシャス♪」といったメロディーを耳にした人も多いのでは。ニュージーランド産キウイを扱っているゼスプリのCMである。スーパーなどでニュージーランド産のキウイをたくさん目にするようになったが、なぜこうした現象が起きているのか。背景に……。
日本の農業は「危機」に直面
ご存じのように、日本の農業は「危機」に直面している。政府は日本食がウケているんだから、日本の農産物もウケんじゃね、みたいな軽いノリで農作物の輸出促進の背中を押すが、言うまでもなく、輸出で大事なのは「規模」である。
農業関係者もそのことをよく分かっていて、農業経営体の全体数は減少する一方で、規模の大きな経営体が増加し、法人化も進んでいる。
規模が大きければ、賃金も上げられるので、若い人たちに働いてもらうことができる。設備投資やマーケティングも戦略的に進めることができるし、何よりも価格競争に勝てる。
このようなスタイルの成功モデルがゼスプリなのだ。この先、日本の農産物を輸出していこうと考えるのなら、明治の日本人たちのように、先進国のノウハウを貪欲に吸収して、自分たちのものにしていかなくてはいけないことは言うまでもない。アゲ、アゲリシャスなんて踊らされている場合でないと言った真意が分かっていただけたのではないか。
『世界で最も成功を収めているキウイフルーツのマーケティング会社』(18年6月21日リリース)のやり方から多くを学び、ぜひとも日本の農業も、世界の消費者を踊らせていただきたい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
関連記事
- ちょっと前までチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が、減速した理由
ブームの牽引役などとチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が叩かれている。2018年12月決算は、8年ぶりに赤字。低迷の原因として、米国での閉店や類似店舗の増加などが指摘されているが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。それは……。 - 行列ができた「ワークマンプラス」、その後どうなったのか?
カジュアルウェアの新業態「ワークマンプラス」が好調である。2018年9月にオープンしたところ、レジに行列ができて、入場制限をかけることも。日本中に旋風を巻き起こしたわけだが、その後はどうなったのか。同社に取材したところ……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 「ハイボール 1杯50円」で、どうやって儲けているのか 鶏ヤローのカラクリ
首都圏の繁華街を歩いていると、「角ハイボール 50円」と書かれた看板を目にするようになった。激安の雰囲気が漂うこの店は、どのような特徴があるのか。運営会社の社長さんに話を聞いたところ……。 - えっ、炊飯器じゃないの? 三菱電機の高級トースターが面白い
三菱電機が高級トースターを投入する。この市場を見ると、バルミューダ、アラジン、シャープなどたくさんの商品が並んでいるが、三菱のトースターはどのような特徴があるのか? パッと見たところ、小さな炊飯器のように……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.