「ちくぽこ問題」をどうやって解決したのか インナー「NoPoints」の舞台裏:水曜インタビュー劇場(ぽっこり公演)(3/6 ページ)
ポロシャツなどを着ているときに、浮き出てくる乳首に悩んでいる人もいるのでは。この問題を解決するために、分厚いTシャツを着たり、ばんそうこうを貼ったりしているかもしれないが、そんな人にオススメの商品がある。乳首がぽっこりしないインナー「NoPoints」である。
学生の前で事業計画を発表
川尻: 「自分でつくるぞー」と思ったものの、ちょっと冷静に考えてみました。乳首のぽっこりを抑えるインナーを欲しいと思っているのは、ひょっとしたら自分だけではないかと。ほかの人はどう感じているのかと心配になったので、サラリーマンが多い新橋の駅前で、人間ウォッチングをすることに。
乳首がぽっこり出ているおじさんはいないかなあと思って観察したところ、たくさんいるんですよね。浮き出ている乳首を隠すようにして、歩いている人もいました。知人や友人に「乳首が目立たないインナーを開発しようと思っている。どうかな?」と相談したところ、「自分も気になっている。そうした商品があれば欲しい」といった声がありました。気になっている人はどんな服装をしているのかというと、白いシャツではなく黒や紺色の服を着て、見た目をごまかしていると言っていました。
じゃあ、女性たちはこの問題をどのように感じているのか。気になって調査したところ、「以前から気になっていた」「不快に感じている」といった意見がものすごく多かったんですよね。なぜそんなにネガティブな声が多いのかなあと思って分析したところ、男性と女性の身長差が影響していることが分かってきました。多くの女性は男性よりも背が低い。男性と向き合って会話をすると、女性の目の位置に、男性の乳首がある。というわけで、「気にしないで」と言っても、自然と目に入ってくるんですよね。
乳首が出ていることに悩みを抱えている男性は、多少いるのではないか。男性のぽっこり乳首に不快感を覚えている女性は、多いのではないか。ということは、この問題を解決できる商品は売れるのではないかと考えました。
土肥: ふむふむ。
川尻: 当時、私は社会人大学院に通っていまして、授業の中で事業計画を発表する機会があったんですよね。そこで、ちくぽこ問題を解決するインナーを開発して、その事業を大きくするといった話をしたところ、ものすごくウケたんですよ。たくさんの人が笑ってくれたものの、「その商品は売れるよ」という後押し派は2割、「そんなの売れるわけないよ」というやめとけ派は8割でした。
土肥: ネタとしては面白いですが、それを発売して、売れるかどうかと聞かれると、「うーん、どうかな」となる気持ちは分かります。
川尻: でも、自分は欲しいと思っている。プレゼンをして、2割の人が欲しいと思っている。じゃあ、自分がつくってみようと決意しました。
関連記事
- ちょっと前までチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が、減速した理由
ブームの牽引役などとチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が叩かれている。2018年12月決算は、8年ぶりに赤字。低迷の原因として、米国での閉店や類似店舗の増加などが指摘されているが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。それは……。 - 行列ができた「ワークマンプラス」、その後どうなったのか?
カジュアルウェアの新業態「ワークマンプラス」が好調である。2018年9月にオープンしたところ、レジに行列ができて、入場制限をかけることも。日本中に旋風を巻き起こしたわけだが、その後はどうなったのか。同社に取材したところ……。 - えっ、炊飯器じゃないの? 三菱電機の高級トースターが面白い
三菱電機が高級トースターを投入する。この市場を見ると、バルミューダ、アラジン、シャープなどたくさんの商品が並んでいるが、三菱のトースターはどのような特徴があるのか? パッと見たところ、小さな炊飯器のように……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 「ハイボール 1杯50円」で、どうやって儲けているのか 鶏ヤローのカラクリ
首都圏の繁華街を歩いていると、「角ハイボール 50円」と書かれた看板を目にするようになった。激安の雰囲気が漂うこの店は、どのような特徴があるのか。運営会社の社長さんに話を聞いたところ……。 - 築46年なのに、なぜ「中銀カプセルタワー」に人は集まるのか
新橋駅から徒歩5分ほどのところにある「中銀カプセルタワービル」をご存じだろうか。立方体の箱がたくさん積まれていて、丸い窓が並んでいる。1972年に建てられたこのビルが、数年前からジワジワ人気が出ているのだ。その謎に迫ったところ……。 - なぜ「スーツみたいな作業着」をつくって、しかも売れているのか
スーツのような作業着「WORK WEAR SUIT(ワークウェアスーツ)」が売れている。製造しているのはアパレルメーカーでもなく、作業着メーカーでもない。水道工事などを行っている会社がつくったわけだが、なぜこのような商品を開発したのか。その狙いを聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.