表情を読み取る「AIお姉さん」が画面から話しかけてくる:調布でバーチャルヒューマンエージェント実証実験(2/3 ページ)
6月末に調布で、モニター画面から話しかけてくる等身大のAI(人工知能)エージェントを街角に置く実証実験が行われる。相手の感情を読み取り、自分の表情も変化させながら自律的に会話するAIエージェントは、世界的に見ても新しい。ゲームAIの技術と機械学習に基づくAIの技術を組み合わせた。
自分から会話のきっかけを作ることができる人型エージェント
ところで、モニター画面を使う人型エージェントの試みは前例がいくつかある。英国ヒースロー空港や国内では上野駅などでも使われた。ただし、一方通行で情報提供するだけなので、それほど高度ではない使い方がほとんどだ。「相手の感情を読み取り、自分の表情も変化させながら自律的に会話するAIエージェントは、世界的に見ても新しい」とクーガーの石井敦CEOは言う。数ある人型エージェントの中でも「レイチェル」は最先端だというわけだ。
実証実験で用いる「レイチェル」はCG(コンピュータグラフィックス)で作り出したキャラクターだが、ゲーム画面の中のキャラクターに感情移入しながらゲームをプレイする人々はすでに大勢いる。今や、多くの人々がCGで作り出したキャラクターに大きな違和感を覚えなくなった。「顔と体を備えていることで、自ら話しかけても許容してくれる」と石井氏は説明する。「例えば、Amazon EchoやAppleのSiriのような音声インタフェースでは、『アレクサ』のようなウェイクアップワード(起動の合図)が必要だった。しかし、人型エージェントは自分から会話のきっかけを作ることができる」
「レイチェル」は顔と体を備えるだけでなく、顔の表情と体による身振りという非言語コミュニケーションを交える能力を持っている。例えば「ユーザーが笑いかけると『レイチェル』が笑いで返す」ような非言語コミュニケーションも可能だ。このような特性があるので、音声だけのAIに比べて質・量ともに良好なコミュニケーションが生まれると、クーガーは期待をかけている。
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