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Libraの2つの顔 超国家企業連合か、暗号通貨の「伝統」か(5/6 ページ)

Libraが成功した際には、超国家的な通貨ネットワークが実現する可能性がある。それだけに、各国の警戒心は強い。グローバルな巨大企業が多数参加するという非中央集権的な側面と、ビットコインを起源とする非中央集権的なあり方を理想とする側面の2つを持つ。日本での法的位置づけも不透明だが、今後どんなシナリオがあるのかも探る。

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日本でのLibraの扱いはまだ不透明

 日本国内でLibraを使えるようになる道筋は、正直にいうと現時点ではまだはっきりしない。

 一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)の顧問弁護士を務める斎藤創弁護士は、6月24日に開催した勉強会の中で、Libraは日本の法律では「仮想通貨」とみなすのが妥当ではないかとの見解を述べている(発表資料)。この場合、Libraと日本円の交換、あるいはLibraと他の仮想通貨を交換する役割は、仮想通貨交換業の登録業者(仮想通貨交換所)が担うことになる。

 別の意見もある。Libraは法定通貨バスケット連動であることから「通貨建資産」と見なされる可能性がある。6月29日付けの日本経済新聞の記事では、匿名の人物への取材に基づき、金融庁が「Libraは仮想通貨にあたらない可能性」を考えていると伝えている。もし通貨建資産と見なされる場合、Libraの取り扱いには銀行業または資金移動業(送金額は1回100万円まで)のライセンスが求められる可能性が高い。電子マネー(前払式支払手段)として扱う選択肢もあるが、この場合は日本円からLibraに交換した後、日本円への払い戻しができない。

 日本でのLibraの扱いについては、現時点では専門家の見解もまだ一致を見ない混沌(こんとん)とした状態といえる。ここで別の視点から指摘しておきたいことは、Libraのホワイトペーパーは英文だけでなく日本語でも公開されていることだ。これはLibra協会が日本市場に関心を持つことを示す。Libra協会が日本市場に働きかけ、日本で使えるようになる可能性は高いのではないかと筆者は考えている。


Libraホワイトペーパーは、英語、仏語、独語、ポルトガル語、スペイン語、ロシア語、中国語、インドネシア語、そして日本語で公開された

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