「闇営業」の原因は、日本の芸能ビジネスの「中抜き構造」にある:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
ワイドショーなどで連日のように、芸人の「闇営業」問題を取り上げている。「最初に発覚したときにうそをついたことがいけなかった」などとコメントしている人が多いが、問題の本質はそこにあるのか。筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしていて……。
最初に発覚してからもう1カ月になろうかと、思いのほか長期化している芸人「闇営業」問題。次は誰の名前が出てくるのかと興味津々の方も多いのではないか。
ワイドショーでは連日のように、「危機管理のプロフェッショナル」を名乗る方や、反社会勢力に詳しい弁護士の方などが登場して神妙な顔で、「最初に発覚したときにうそをついたことがいけなかった」とか、「反社の人間はその場で見抜くのは難しい」などとコメントをしている。
立派な方たちのご発言なのでもちろん、そこから学べることもたくさんあると思うのだが、ぶっちゃけ、こういうご発言が出れば出るほど、今回の問題の本質から遠のいていく気がしてしまう。
その本質とは、日本の芸能ビジネスの「中抜き構造」だ。
保身のためにうそをつく芸人が悪い、反社を仲介した人間の見る目がない、吉本の対応が遅い、など本件では多種多様なツッコミどころが出てきてしまったせいで、どうしてもポイントがぼやけてしまっているが、突き詰めていけば以下の問題に集約されていく。
なぜテレビにも出演して、それなりに知名度のある芸人が、所属事務所を通さずに「個人」で仕事を請け負うというリスキーな行動に出たのか、ということである。
これがなければ、そもそもフライデーに詐欺グループから写真や映像が持ち込まれることもなかった。ということは、反社だと知らなかったのか問題も、ギャラをもらったもらっていない問題も発生しない。すべての災いの元はここにあるのだ。
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