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「闇営業」の原因は、日本の芸能ビジネスの「中抜き構造」にある:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
ワイドショーなどで連日のように、芸人の「闇営業」問題を取り上げている。「最初に発覚したときにうそをついたことがいけなかった」などとコメントしている人が多いが、問題の本質はそこにあるのか。筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしていて……。
ギャラを「中抜き」されている
では、なぜ事務所を通さなかったのかというと、ギャラをガッツリと吉本に「中抜き」されているからだ。
吉本芸人のギャラは「会社9で、芸人が1」なんてネタがあるほど、日本ではタレントのギャラから所属芸能事務所がマージンをガッツリ抜いていく。ギャラの40〜50%を事務所が抜くことは、この世界では「常識」となっている。
と、聞くと、売れない時代から育てて、仕事を取ってスケジュール管理とか身の回りの世話までしているんだから、それくらいもらうのは当然だろと憤慨する芸能関係者も多いだろうが、実はこういう発想自体が、世界のショービジネスでは「異常」と言わざるを得ない。
海外のエンタメニュースで、「レディ・ガガや ロバート・ダウニー・Jr.が所属する大手芸能事務所」なんて文言を耳にしたことがないように、そもそも海の向こうでは、タレントは事務所に「所属」していない。基本的に、自分の才能のみで仕事をしていく。
じゃあ、どうやって仕事を得ているのかというと、仕事を取ってくるエージェントと複数契約をしている。彼らはテレビや映画の世界に張り巡らせた人脈を駆使して、「顧客」であるタレントたちを売り込む。そして、仕事のマッチングが成功をすれば、タレントからギャラの10%程度、報酬をもらうという仕組みなのだ。
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