「闇営業」の原因は、日本の芸能ビジネスの「中抜き構造」にある:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
ワイドショーなどで連日のように、芸人の「闇営業」問題を取り上げている。「最初に発覚したときにうそをついたことがいけなかった」などとコメントしている人が多いが、問題の本質はそこにあるのか。筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしていて……。
ビジネスモデルがきちんとしている
もしも日本のタレントもこのようなエージェントを利用するのが「常識」となっていたら、そもそも今回のような問題は起きていない。
スリムクラブや2700が吉本の劇場に立っても経済的に苦しければ、吉本以外のエージェントに仕事のマッチングを依頼すればいいだけの話だからだ。
どのようなビジネスの世界でも同じだが、反社がらみの仕事を持ってくるような人の悪評は瞬く間に広まる。タレントという顧客に仕事をマッチングするエージェントの世界も同様で、一度でも悪評が立ってしまえば命取りである。ゆえに、プロとして仲介先の素性は、しっかりと確認をするはずだ。もし万が一、反社だということに気付かなかったとしても、それはあくまでエージェントのミスである。スリムクラブや2700が糾弾されるような話ではないのである。
ここまで言えばもうお分かりだろう。なぜ海外で「売れないコメディアンが闇営業でマフィアと同席してました」なんてニュースがないのかというと、タレントという個人事業主が「闇」に落ちず、ショービジネスを続けられるようにビジネスモデルがちゃんと確立しているからなのだ。
2018年10月、所属事務所に「次まだ寝ぼけたことを言い出したらマジでブン殴る」などとLINEを送られた16歳の「農業アイドル」が自殺をした際に書いた記事『16歳のアイドルを自殺に追い込む、「夢を食うおじさん」の罪』で詳しく述べているが、日本の芸能マネジメントは、売れないタレントを事務所が育成して、タレント側はその負い目から奴隷のように不平等な立場で働かされる「奴隷契約」が基本スタイルとなっている。
これは別に芸能事務所を叩いているわけでもなんでもなく客観的事実に過ぎない。実際に、あの歌姫・安室奈美恵さんでさえ独立前に所属していた事務所に対して「奴隷契約だ」と不満をぶちまけた、と『週刊文春』などが報じている。
もちろん、海外でも有力映画プロデューサーが仕事をちらつかせ、新人女優に体の関係を迫るなんてことはちょいちょい報告されているが、このように個人事業主であるタレントを、事務所という組織が「ここまで育てた恩」をちらつかせて「奴隷」のようにこき使う独特のマネジメント方法は、日本と韓国くらいだ。
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