インタビュー
企業を崩壊させかねない「組織急拡大の壁」問題、Sansanはどうやって乗り越えたのか:成長痛をどう乗り越えるか(4/4 ページ)
社員の増加に伴って、企業の文化や理念が社員に伝わりにくくなり、いつしか社内がバラバラの方向を向いた統合性のない組織になってしまう――。そんな「組織拡大の壁」問題をSansanはどうやって乗り越えたのか。
会社の軸がぶれない限り、経営理念は必要に応じて変化させてよい
大間さんの話から「Sansanのカタチ」の変更は、会社の状況に応じて、必要なコミュニケーションの手段として行われたことが分かる。
現に、ミッションが「出会いからイノベーションを生み出す」となったことで、社員のなかでも「出会い」という言葉が今まで以上に身近になり、既存事業と新規事業とミッションのつながりが理解しやすくなったようだ。
企業理念は、それが社員の行動指針として機能しているのならばこそ、安易に変えると混乱の要因にもなりそうだ。
大間さんに見直すときのポイントを聞くと、「自分たちが何をなすべき会社なのか、その軸を社員の共通言語としておくこと」という答えが返ってきた。その根本部分がブレなければ、ミッションを表現する言葉をより時代に合ったものに変えたり、その時々のフェーズで大事な価値観を取捨選択したりすることは、全く問題ないという。
最新の「Sansanのカタチ」にはβという文字が付いている。これは「経営理念は不変ではない。必要に応じてどんどん変えていく」という意思の現れなのだ。
【聞き手:後藤祥子(編集部)、やつづかえり】
関連記事
- 元楽天トップセールスが編み出した「半年でチームを自走させる」マネジメント、3つの秘訣
少子高齢化に伴う人材不足が深刻化する中、“今、いるメンバーの力をどうやって最大化する”かが、リーダーの腕の見せ所だ。元楽天のトップセールスマンが編み出した、短期間で自走するチームを作る方法とはどんなものなのか。 - 「上司なし、評価はメンバーがお互いに」 そんな「管理ゼロ」組織は実現できるのか――ネットプロテクションズの挑戦
「新卒の8割が辞める会社」から「新卒入社後3年目までの離職率がゼロの会社」へと生まれ変わったネットプロテクションズが、今度は「管理ゼロ企業」を目指して動き出した。どうやって実現しようとしているのか。 - ANAの改革推進トップに聞く “変われなかった現場”でイノベーションが起きたわけ
国内外の厳しい競争にさらされている航空業界。勝ち残っていくためには、働き方にイノベーションを起こし、顧客本位のサービス開発ができる体制を整えることが不可欠だ。ANAの改革をけん引する野村氏はどうやって現場にイノベーションマインドを根付かせたのか。 - 日清食品HDのIT部門トップに聞く 「変化に強いリーダー」はどうやったら育つのか
これまでの当たり前を疑える目を持ち、社内外からさまざまな情報を集めてくるフットワークの軽さがあり、変化に対応できる柔軟なマインドを持っている――。そんな“変化の時代に必要とされるリーダー”は、どうやったら育つのか。 - 日本郵便の“戦う専務”が指摘――IT業界の「KPI至上主義」「多重下請け構造」が日本を勝てなくしている
先進国の中でもIT活用が遅れている日本。その原因はどこにあるのか――。日本郵便の“戦う専務”鈴木義伯氏とクックパッドの“武闘派情シス部長”中野仁氏が対談で明らかにする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.