埼玉発「ぎょうざの満洲」 消費増税に負けない“独自すぎる”ビジネスモデルに迫る:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
埼玉県発祥の「ぎょうざの満洲」。東京だけでなく関西にも進出し、着実に成長している。消費増税も恐れない独自のビジネスモデルに迫る。
テークアウトを増やすための秘策
現在、店舗の出入口付近にはギョーザなどを販売する縦長のリーチイン・ショーケースが設置されている。これは、コンビニで缶ビールなどのドリンクを売る際に使われているものだ。以前は、コンビニで弁当を売るショーケースをそのまま使っていたが、保冷効率を改善するために変更した。
最初は対面販売でなければ持ち帰りギョーザは売れなかったのだが、「コンビニに慣れたからショーケースで売れるようになったのではないか」と池野谷社長は分析している。売り上げの40%を占めるテークアウトのうち、7%の宅配を除く33%がこのショーケースから生み出されている。
ショーケースに入っている商品の売れ筋は、ギョーザが圧倒的で8割を占める。冷凍と冷蔵の比率は7:3で冷凍のほうが売れる。この他、生麺、焼豚などの商品を販売している。
テークアウトのギョーザをより多く売るため、家でもお店と同等なおいしさに焼けるよう、PR活動を熱心に行っている。例えば、ギョーザのパックに一番おいしくなる焼き方を掲載している。また、店内に置かれた広報紙「満洲通信」で焼き方をレクチャーしたり、Instagramで「おうちでぎょうざの満洲」なるフォトコンテストを実施したりと、積極的に販売促進を行っている。このようなPRの効果が出て売れている面もある。
店で出す焼きギョーザ、水ギョーザ、テークアウトの冷凍・冷蔵ギョーザは、同じ商品を形を変えて販売している。関東は坂戸工場、関西は大阪府吹田市の江坂工場から、1〜2時間で配送できる範囲に出店。鮮度にこだわり、その日に販売する分を午前中に製造してお店に配送している。
素材の改良はどのようにしているのか。ギョーザに使う豚肉は以前から国産を使っていたが、現在はさらに産地を指定している。池野谷社長が実際に足を運んで選んだ、食肉加工場を有する青森県産の「美保野ポーク」を中心に使用。同工場の衛生管理は日本一だと池野谷社長考えている。挽肉は赤身を3割増やし、脂肪分を減らして、カロリーを低減している。
キャベツはもちろん国産だが、自社農園で栽培したものが3割ほど含まれている。皮に使う小麦は香りの高い北海道産を使い、加水率を50%と高めて、もっちり感を表現している。
これによって、もっちりジューシーでありながら胃もたれしない、ヘルシーなギョーザができ上がった。
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