埼玉発「ぎょうざの満洲」 消費増税に負けない“独自すぎる”ビジネスモデルに迫る:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
埼玉県発祥の「ぎょうざの満洲」。東京だけでなく関西にも進出し、着実に成長している。消費増税も恐れない独自のビジネスモデルに迫る。
ラーメンのスープに秘密あり
半年前に稼働した川越の新本社工場では、ラーメンに使うスープを製造している。以前は鶴ヶ島に工場があったが、店舗が拡大したために手狭となったので移転した。
川越工場では、これまでのずんどう鍋ではなく、圧力釜を新しく採用した。その導入効果として、従来なら8〜10時間かかっていたスープを炊く時間が3分の1くらいにまで短縮。しかも、スープが透き通るようになり、濃厚になった。同じ素材を使って、2倍の分量のスープが取れるようになったので、コストの削減にもつながっている。
このような圧力釜の効果で、ラーメンのスープは以前にもましてブレがなくなり、注文が増えているという。
豚骨、豚足、鶏がら、煮干し、昆布、鰹、にんにく、しょうが、各種野菜といった素材からスープを取っている。圧力釜を使ったスープの劇的な変革に同社は自信を深めている。
ぎょうざの満洲では、チャーハン、レバニラ炒め、肉野菜炒めなどといったあらゆる料理のタレに、ラーメン用のスープをだしとして使用している。スープの品質向上は、ラーメンのみならず、ほぼ全ての料理の味の改良に直結するからである。
ぎょうざの満洲は、町中華の伝統を引き継いでレシピを守りつつも、化学調味料に頼らず、自社工場での製造、自社農園の野菜づくり、顔が見える生産者からの仕入れ、店舗での手づくりの料理にこだわり、食の安全・安心を追求している。また、高齢者でも飽きずに食べられるような、さっぱり感のあるヘルシーな現代風の料理に進化してきている。だから、“おひとり様”も含めた女性客が多い。男性客との比率が半々くらいになっている店も多いという。
一部を除き、ご飯を玄米(金芽ロウカット玄米)に変えられるサービスを導入している。また、チャーハンは白米・玄米をそれぞれ半分ずつ使って提供するなど、中華にもかかわらず、ヘルシー色を強めているのも“ぶっ翔んで”いるところだ。
また、ちょい飲みができるメニューも開発しており、キムチ、冷奴、メンマ、ザーサイは150円(ハーフサイズで80円)で提供している。焼きギョーザもハーフサイズがあり、3個150円である。お酒は紹興酒がグラスで260円、スーパーチューハイとグラスビールが320円となっている。
持ち帰りギョーザは店によって異なるが、週に2回特売日があり、320円の冷凍・冷蔵ギョーザが255円になる。このように消費者の財布にやさしいサービスも、ぎょうざの満洲の魅力の1つだ。
池野谷社長は毎日、お店で提供しているのと同じギョーザやラーメンを食べているそうだ。中華料理を毎日食べて、肥満にならず健康で長生きするのが、人生最大の課題という。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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