えっ、家が喫茶店になる? 自宅焙煎ができる「ホームロースター」が面白い:水曜インタビュー劇場(コーヒー公演)(4/5 ページ)
調理家電で、またひとつユニークな商品が登場した。コーヒーの焙煎機だ。大阪の家電メーカー「ライソン」がクラウドファンディングで公開したところ、3200台以上が売れた。家電量販店などであまり目にしない商品は、どのようにして開発されたのか。同社の社長に聞いたところ……。
全員賛成の商品は苦戦することも
土肥: 遅れが生じたことに対し、焦りはありますか?
山: ものすごくあります。出荷が遅れたことによって、ちょっとした騒ぎになるケースがありますよね。そうした事態を見て、「大変だなあ」と他人事として感じていたのですが、実際に自分がその立場に置かれることになって、とても焦りました。
出荷時期については、きちんと守れるようにスケジュールを組んでいたのですが、先ほども申し上げたように、想定以上に売れたことと、初めてつくる商品にうまく対応できなかったことがありました。いずれも、こちらの見込みの甘さが原因だと受け止めています。
土肥: 話はちょっと変わりますが、ライソンはニッチな商品を攻めていますよね。直近でいえば、カップ焼きそば「ペヤング」専用のホットプレートを発売して、話題になりました。「焼きそば」と書いているのに、「焼いていない。じゃあ、焼けることができるホットプレートを開発してみては?」といったアイデアが社内から出てきて、商品化に。ユニークな商品の企画は、どのように進めているのでしょうか?
山: ホームロースターは消費者の声を受けて商品化に至ったわけですが、これまでの商品はすべてスタッフの声から生まれているんですよね。では、どのような形で企画が進んでいるのか。みんなが「これ、いいよね」「絶対に売れるよ」といった形で進んだモノは、失敗するケースが多いんです。一方で、1人が「売れる」と思っていても、その他の全員が「絶対にダメ」「誰が買うの?」といった指摘が入るモノでも、成功するケースがあるんですよね。
土肥: ほー、面白いですね。
山: なぜこうした現象が起きるのか。全員が「絶対に売れるよ」といった企画の場合、いろんな声が入ってくるんです。「自分だったらこうするよ」「この機能も搭載したほうがいいよ」といった意見を受け入れることによって、基本コンセプトがブレにブレてしまう。一方、1人だけ「これ、いいよね」と思っている商品の場合、いろいろな声が入ってこないので、基本コンセプトがブレにくい。結果、消費者に分かりやすい商品が生まれてくるんですよね。
土肥: 「ペヤング」専用のホットプレートの場合でいえば、「ペヤング」に絞っているから、ファンから支持された。もし、「オレ、UFOが好きだから」「ワタシ、一平ちゃん派ね」といった形で、意見を盛り込んでいたらどうなるか? 「カップ焼きそば専用のホットプレート」というネーミングになって、ちょっとぼやけてしまうというわけですね。
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