ビットコインとLibraは何が違うのか?:ビジネスパーソンのための入門Libra(3/3 ページ)
グローバルに使うことを目指した暗号通貨としてFacebookが主導するLibra。技術面ではなく利用用途面から見ると、ビットコインと大きな2つの違いがある。
Libraは本当に決済で使われるのか?
しかし、こうした工夫だけで本当にLibraは法定通貨に代わって決済に使われるようになるのだろうか? 志茂氏は、国内の決済にはあまりメリットがないだろうと話す。
「ビットコインと同じで、わざわざ日本円をLibraに変えてそれで支払いをするか? 1000円をLibraに変えるときに手数料を取られて、店舗決済でもまた手数料を取られる」
Libraを使った決済が威力を発揮するのは、国際間取引とインターネット上の取引にある。例えば、法人間の取引でも、小口の輸入業をやっていて支払いをLibraで行うということはあるかもしれないと志茂氏はいう。
Libraのポテンシャルが最も生きるのがインターネット上での決済だ。
「海外のお金がない人が、お金がないのにLibraを買うのか? オンライン上で稼ぐ仕組みができてLibraで支払われたときに、Libraが使われる理由が出てくる。ビットコインで(決済の普及を目指して)やってきた人たちを見ると、そういった世界を作らないと、難しい」
例えばUberの運転手をやってLibraを稼ぎ、そのLibraを使ってeBayで買い物をしたり、Visaにチャージしてスーパーマーケットで買い物をしたりという世界だ。インターネットの中を中心として、そこで収入から支出までがLibraで完結する。こうした経済圏を作り出す可能性をLibraは秘めている。
「ネットでLibraを稼いで、ネットでLibraを使う世界観が現れるのではないか。物理的な世界ではなく、インターネット内で使われる通貨になるのではないか」(志茂氏)
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