携帯ショップにも「パンプス廃止」の波は来るか 大手3社の靴事情
昨今、働く人の服や靴のマナー見直そうという動きが加速しているが、制服で働く「携帯ショップの店員」にもその波は来るのだろうか。大手携帯電話事業者3社に聞いた。
近年、働く人の服装を見直そうという動きが加速している。中でも注目を集めているのは「靴」だ。2017年にはスポーツ庁が、歩きやすい服や靴で通勤するよう呼び掛ける「FUN+WALK PROJECT」をスタート。19年に入ると、パンプス着用の強制や勤務中に履く靴を指定するようなオフィスマナーに疑問を呈す「#KuToo」が盛り上がりを見せた。
企業からもさまざまな取り組みが生まれており、日本航空(JAL)傘下のLCC「ZIPAIR」は、客室乗務員の制服にスニーカーを採用。ジョンソン・エンド・ジョンソンも、就活生が履く靴をスニーカーでもOKにしようと呼び掛ける「#スニ活」を推進している。
しかし、働く人の中にはまだまだ「企業が指定した靴」の着用を求められている人がいる。携帯電話のショップ店員もその1人だ。多くのショップで、黒の革靴やパンプスを着用している人を見るが、ここにも靴の見直しの波は来るのだろうか。大手携帯電話事業者3社に聞いた。
ドコモは「スニーカーの採用を検討中」
NTTドコモによると、「ドコモショップ」では現在、男性は黒の革靴、女性は黒のパンプス(ヒールの高さ3.5センチまたは6.5センチ)を着用する決まりになっている。しかし、ショップスタッフなど現場からの要望を受け、五反田にある実証実験店舗「d garden五反田店」では試験的にスニーカーを導入。20年10月をめどにリニューアルする新ユニフォームでは、スニーカーの採用も検討しているという。
「ユニフォームの具体的な仕様は未定だが、現在のカチッとしたデザインの制服から、カジュアルなものに変更する。まだ決定した事実はないが、スニーカーの採用も視野に入れている」(NTTドコモ)
KDDIは「直営店のみスニーカーも可」
KDDIもドコモ同様、男性は黒の革靴、女性は黒のパンプスの着用が義務付けられている。ただし、パンプスは「ヒール無し」または「6センチ以内のヒール付き」となっており、ドコモよりもやや緩い規定だ。
スニーカーの着用については、全国に12店舗ある直営店でのみ許可しており、直営店以外でのスニーカー導入については「現時点では未定」(KDDI)とするにとどめた。
ソフトバンクは「クールビズ中はスニーカーもOK」
一方ソフトバンクでは、夏制服を着用する6〜9月の間は男女ともにスニーカーの着用を認めているという。春秋冬の3シーズンは、女性なら制服に適した色のパンプス、男性ならビジネスシューズを着用する決まりになっているが、「女性にヒールの強要はしていない。男性も革靴を履く人が多いが、必ず革靴を履くよう指定しているわけではない」(同社)としている。
ソフトバンクは「昔とはスタッフに求められる役割も変わってきているため、現場の要望などに合わせて、順次対応を進めている。スニーカーの通年採用についても、要望があれば検討する」としている。
大手通信事業社にも、服装マナーの見直しが広まりつつあるようだ。「これまで通り」の規定を見直し、従業員にとって本当に必要なルールかどうか、各企業で見極めるタイミングが来ているのかもしれない。
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