大ヒットの予感 マツダCX-30:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)
Mazda3をベースにしたSUV、CX-30。CX-3はクーペ型SUVでパーソナルユース、CX-30はファミリー層に向けた商品だ。大人4人をしっかり乗せ、ある程度のラゲッジ積載量を備えつつ、タワーパーキングに入れられるコンパクトSUVという、ラインアップ上の隙間を埋めた。
マツダの狙いを表明するデザイン
同様の関係はMazda3とCX-30の間にも存在する。Mazda3はスポーティな走りをイメージしており、リヤシートの居住性も考慮されているとはいえ、それはCセグメントの標準か、プラスアルファの範疇(はんちゅう)にある。リヤシートの存在感の差は、デザインにも織り込まれているので、マツダは意図的にそうしていると考えられる。
Mazda3のサイドビューを見ると、フロントフェンダー上から後ろ上がりにハイライトが描かれており、リヤドアのハンドルあたりから折り返した陰影ラインは、Z字を描いてサイドシルのあたりで後ろへ再び折り返す。サイドウィンドー上部のハイライトは、Bピラーの前で頂点を迎えて下がっていく。これらのラインが織りなす形状は後ろすぼまりになっていて、ドライバーシートをピークに尾を引く流線型形状になる。こうした陰影がどこにスポットライトを当てているかといえば、明らかに運転席であり、それはとりもなおさずMazda3はドライバーカーであるという主張である。
CX-30はどうかといえば、フロントフェンダー上のハイライトはリヤタイヤ上端へ向けて下がっていく。こちらはサイドミラーあたりでZ字に折り返して、一度ドア下端まで下がったあと再び折り返して、フロントタイヤの上端へと戻る。ほとんどのラインはエンジンルームを起点に後ろ広がりになっており、こちらがスポットライトを当てているのはリヤシート、あるいは前後のシート両方だ。クルマのコンセプトを見事にデザインに織り込みながら、どちらもまごう事なき第7世代の共通性を持たせたデザインには感服せざるを得ない。
余談ながら、写真を見てお気づきの方もいるだろうが、Mazda3は左頭、CX-30は右頭で見て双方がZ字。つまりZは両車で反転している。実は全然違うのだ。
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